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第422話

「ごめんなさい。必死に治そうとしてくれるあなたに言う言葉ではありません。でも、心のどこかで、私は、この傷が治らなければ良いのにと、そう、思ってしまうのです」  凪の役目はもう終わった。同時に、サーミフが凪を側に置く理由も。今は凪が足に傷を負い、それに関してサーミフも負い目を感じているから、今までのように側に置いてくれているのだろう。だがそれも、傷が治って、凪自身が自分の力で動けるようになってしまえば、もうサーミフの中で凪を側に置く理由ではなくなる。  それがどうしようもなく、恐ろしい――寂しい。 「まぁ、確かに治らない方がというのは治そうとしている私の意思とは反していますが、問題はそこではなくてですね」  涙は溢れていないのに泣きそうになっている凪に、医師は呆れたと息をつく。 「別に傷が治ろうが治るまいが、殿下はあなたの言葉を聞かない人ではありませんよ」  例えそれが、どんなものであったとしても。 「一応言っておきますが、詳細は知りません。でも、殿下とあなたの関係は、私ですら気づくものが多々ありました。なんと歪なことかと思ったものです。良くも悪くもあなたが知る殿下は、あなたが接した殿下です。あぁ、言い方が難しいな。ともかく、殿下は本来、他者の言葉を聞こうとなさる人ですよ」  だからこそこの国の司法を任されている。

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