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第432話
「研ぎ澄ませてこられたあなたの目を、疑いはしません」
その言葉に込められた意味を理解して、男は柔らかに微笑むとサーミフの部屋の扉をそっと開いた。
「ありがとうございます。では、その辺りに置いていただけますか? あとは私がやりますから」
そっと移動に支障がないだろう場所を指差すと、男は心得たように箱を置いた。本当に手伝わなくて大丈夫かという視線に、凪も無言で頷く。そんな凪に男は苦笑した。
「では私は業務に戻りますが、何かあったら遠慮なく声をかけてくださいね。すぐに駆けつけますから」
頼って良い。そう刻みつけるように言って、男は部屋を出た。パタンと扉が閉まり、凪は床に置かれた箱の中を見やる。今からならばサーミフが戻ってくる前に全て片付けられるだろうと計算して、凪はついでとばかりに窓を開け放った。
ふわりと入り込む風に髪を揺らめかせながら、凪は箱に手を伸ばす。ひと抱えほどの箱であるが、大きな物は入っていない。細々としたものをひとつひとつ丁寧に確認し、凪はサーミフが使いやすい場所に仕舞っていく。
これはこの棚に。これはこの引き出しに。
見たことのあるそれらを凪は迷うことなく置いていく。全体を考えれば多くはないとはいえ、それなりの量があった箱の中はみるみる内に減っていった。そして最後に手を伸ばした凪はキョトンと目を瞬かせる。
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