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第433話
取った物、取った物を仕分けていたので気づかなかったが、最後のこれは見覚えがない。何だろうと手に取った凪はますます首を傾げた。
「ちいさな おうじさま?」
子供が見やすいようにだろう、大きな文字でタイトルの書かれたそれは、どう見ても絵本だった。パラパラとめくってみたが、やはり大きなページには可愛らしく温かな絵が描かれており、文章は多くて数行だった。生憎と凪はこのタイトルに見覚えがないため、どんな内容かわからないが、おうじさま、という言葉はサーミフを連想させる。
(何か思い出の品なのかな)
詳しいことは知らないが、サーミフの母がすでに亡くなっていることを凪は知っている。その母君が自分の母――ツバキによく似た面差しであることも。ならばこれはサーミフが母君と過ごした思い出の品か、あるいは母君や兄君たる王太子から贈られた物なのかもしれない。どちらにせよこの離宮まで持ってくるくらいなのだから大切に保管しておこうと思った時、かちゃりと扉の開く音がした。
「おや、ここにいたのか」
凪の姿を見るや目を丸くしながら部屋に入ってきたのは侍従長だった。彼の姿に凪はハッとして思わず窓の外を見る。その姿に侍従長はカラカラと笑った。
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