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第437話

 きっと歴代の王族ですら羨むような境遇。だが本人たる二人は優秀ゆえか、敏感ゆえか、人々が向ける笑顔の向こうを早々に気づき、表面を取り繕って内心は心の奥底に隠す術を身につけてしまった。まだまだ子供と言ってよい年頃なのに、深い諦念を抱く姿を侍従長は覚えている。母君も心配していたが、大人になってもその諦念が消えることはなかった。 「母君の想いを理解し切ることはできずとも、大切にしたいと思われたのだろう。大人になってからも、サーミフ殿下は幾度となくこの絵本を眺めていらっしゃった。まるでそこに託された母君の想いをなんとか受け止めたいと思っておられるかのように。だが、そのお姿も母君が亡くなられてから見ることは無くなった」  絵本がどこにあるのか、侍従長すらわからないほど徹底的に隠された。そこに深い悲しみがあると知っている侍従長は、サーミフにかける言葉を持たない。長い時が経った今この時でさえ。

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