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第438話
「ナギ、私はお前に詫びねばならないだろう。だが、謝ることはできない」
母君の話から、どうして自分の話になるのかわからなくて凪は瞬く。そんな凪に侍従長は目を細め、そしてゆっくりと瞼を閉じた。
「謝るということは、己の過ちを認め、詫び、二度と繰り返さぬと誓うこと。しかし私はできない。もしも過去に戻ることができたとしても、私は同じ道を選ぶだろう。何度も、何度でも」
それが過ちとわかっていて、それでもこの道を選ぶ。だから、口先だけで謝ることはできない。繰り返すとわかっているそれは謝罪なんかじゃない。ただ自分の気持ちをスッキリさせたいだけの偽善だ。
「私は意図して黙っていたが、これは宮殿に仕えている者なら誰もが知っていることだ。今の今までお前が知らなかったことの方が不思議なほどに。――知らぬ方が良いのかもしれん。だが私は殿下の僕だ。ゆえに、今だからこそ教えようと思う」
過ちだと知りながら謝りもせず、さらに凪の心よりもサーミフを優先させるのかという誹りは甘んじて受け止めよう。
どうあっても、自分は王太子とサーミフを守る存在でしかあれない。そうあると、亡き夫人と約束した。
「殿下の母君は決して病死などではない。殺されたのだ。それも、かつて夫人に仕えた侍女が産んだ、異母妹に」
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