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第440話

「陛下の愛情は歳をとっても変わることなく王妃様の元にあり、王妃様がお産みになった二人の殿下もすでに大きく、立派になっておられた。王のご寵愛も、王太子の地位も、決して得ることはできない。その事実に気づかなければ、夢を抱き続けたままある意味幸せでいられただろう。だが女は気づいてしまい、嫉妬に身を焦がした」  王妃として王の隣で微笑む姿を見るたび、仲が良く才長けた王子たちを見るたび、女は今の自分を悲観して泣いたという。その姿を、じっと娘は見ていた。 「女の嫉妬を王妃様がご存知だったか、それはわからん。今となっては知る術もない。ただ事実として、女も、女の娘も王妃様の元を訪うことはできたし、珍しいことでもなかったから誰に怪しまれることもなかった。娘はあの日そうして一人、王妃様の元を訪った」  淡々と侍従長は事実を口にする。意図してのことだろう、そこに感情は見えない。だが凪はギュッと強く己の手を握り込んだ。  王妃がどうなるのか、凪は先程聞いて知っている。この話の結末は必ずそこに辿り着く。わかっていて、それでも恐ろしくてならない。何より、最初からずっと侍従長が〝女の娘〟と言っていることも気に掛かる。事情が事情なだけに女は仕方のないことかもしれないが、侍従長の言う女の娘はサーミフの異母妹、つまり王族であるというのに。

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