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第441話

「あの時、王妃様は伏せっておられた。元々お身体が丈夫な方ではなく、風邪を召されることも多かった。お見舞いに来たと言っていたと、当時側に控えていた侍女が後に証言したそうだが。――ともかく、部屋に通された娘は礼をして立ち上がるとすぐに、懐に忍ばせていたナイフで王妃様に襲い掛かり、気付いた兵士や侍女たちが動くも間に合わず、それは王妃様の腹部を深く貫いた。その瞬間を、たまたま部屋を訪れられたサーミフ殿下は、見てしまわれたのだ」  白と薄桃の花がポトリと落ちて無惨に散らばった。一瞬の静寂。誰もが今、何が起こったのかわからないというかのように時を止めた、あの――瞬間。 「幼子とはいえ、一切の躊躇いもなく刃を突き立てられたのだ。駆け寄って叫ぶように呼んだ殿下の声に応えることもできず、一瞬でさえお目覚めになることも無いまま、王妃様は亡くなられた」  優しく、夫である国王も愛していたが、それ以上に子供達を愛した人だった。自分の息子達はもちろん、王宮に住まう他の王子や王女にも気を配り、心底から慈しんだ人だった。  まさしく、国母と呼ぶにふさわしい、美しい人だった。

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