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第442話

「……なぜ、そんなことが」  凪のそれは侍従長に問いかけているというよりも、思わず口から零れでたものだった。  女が凶行に出たというのであれば、真実理解はできないが、それでもまだ想像することはできただろう。女はずっと王妃様に嫉妬を向けていた。それも子の立場まで羨むほどに。ならば嫉妬のあまり自分を見失って浅慮な行動に出てしまったということもあるだろう。残念ながら歴史的にもそのような話は数えきれないほど存在している。決して容認はできないが、それでも女がやったというのであれば、まだ歴史は繰り返されたと納得はできた。  しかし、なぜ娘が?  自分が王になりたいからと王太子やサーミフの地位を羨んで? しかし侍従長は〝幼子〟と言った。実際はどれくらいの年齢だったのかわからないが、幼子と称される子供がそのようなことを考えるだろうか。それに、仮にその地位を羨んだというのであれば、刃の鋒は王太子やサーミフに向けられるはずだ。王妃様を殺したとて、息子の地位が脅かされることはない。国王は王妃様を愛するが故に貴族令嬢には手を出さなかったというのだから、王太子やサーミフを押し除けるだけの後ろ盾も無かっただろう。

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