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第443話
「なぜ……」
何もかもがおかしい。なぜ、その王女は王太子やサーミフではなく王妃様を狙った?
なぜ、忍ぶでもなく侍女や兵士たちがいる前で凶行に走った?
「何を思って……」
その幼き手を真っ赤に染めたのか。
「そうすればお母様が笑ってくれると思った」
ピクリと凪の肩が跳ねる。侍従長の声であるはずなのに、なぜか幼子の声が重なって聞こえるようだった。その声で、なんと言った?
「女はずっと部屋で王妃さえいなければ自分がそこに立てた。王妃さえいなければ我が子が王になる未来もあったはずだと、ずっと恨み言を言っていたようだ。だから、娘は母親の願いを叶えようとした。王妃様さえいなければ、母親が笑ってくれると信じて」
皮肉なことに、娘の中に悪意など無かったのだろう。母親が笑ってくれること、それだけが目的だったのだから。もしも母親が〝花が欲しい〟と言っていたなら、庭の花を腕いっぱいに摘んで差し出しただろう、微笑ましく可愛らしい願いのはずだった。
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