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第444話
「あの時のことを後悔しない者はいないだろう。もっとこうしていればと、そんなもしもを考えずにはいられん。私も、未だに後悔の中だ。もちろん、王妃様をお守りできなかったことを一番に悔やむが、殿下のお心に寄り添うことができなかったことを、今でも後悔している」
愛する母が真っ赤に染まる瞬間を、彼はどんな思いで見ていたのだろう。どんな思いで、母の名を必死に呼んだのだろう。どんな思いで、棺に横たわる冷たい母を見たのだろう。どんな思いで、王子として立ち続けたのだろう。
「あぁ、だが、勘違いしないでくれ。これを話したのは、事情を知ったのだから殿下を許せと、仕方がなかったのだと言うためではない。そんなことは殿下もお望みにならない。むしろ殿下は、そなたにこの過去を知られたくないと思われているだろう。今話したのは、私の独断だ」
ツバキに何か思惑があるのでは、と疑念が湧いた時、サーミフが真っ先に凪を警戒した理由。その警戒を決して解こうとはしなかった理由。凪が想像していたものなど、なんと軽いことだろうかと思わずにいられない、その過去。ようやく凪は、本当の意味で理解できたような気がした。サーミフは凪に知られたくないと思っているだろうという侍従長の言葉にも頷ける。以前は策略として。今は後悔ゆえに。
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