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第445話

「……侍従長は、殿下の一番近くにおられる方です。殿下のお心も、誰よりもご存知でしょう。他者にはできずとも、あなたにならできることが山程あります。だというのに、私に――何かができると?」  理解だけで終わっては、この話の意味がない。変えられぬ過去の答えをもらっただけになってしまう。侍従長が今、この時に話した理由が必ずあるはずだ。彼自身が言っていたように、凪ではなくサーミフにとって重要となる意味が。  あなたはそれを凪に託すというのか、という問いかけに侍従長は目尻の皺を深くして頷いた。 「きっと、王妃様が願い、殿下が探し続けておられるモノが、その先にあるだろう。それは希望ですらなく願望だと誰に言われようとも、私はそう信じている。あの絵本の結末を、殿下が知る時が来たのだと」  幼き日に諦念を抱いた王子様は、自分が本当に求めているものさえ見えなくなってしまった。見えなければ、わからなければ、手を伸ばしようもない。それはとても悲しいことだと思うのに、本人はそれも定めだと抗うことなく諦めてしまった。そうしてどれほどの年月が経ったか。  けれど、今ならば……。

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