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第467話
「これは、私の個人的な意見で、そうでない人もいるかもしれませんが」
前置きをしつつ、凪は己の手をジッと見つめる。綺麗な方ではあると思うが、貴族のお坊ちゃんではなくなった手を。
「諦めたと口で言っても、仕方のないことと言っても、覚悟しているとか、何でもないと呟いても、結局それは口で言っているだけ、あるいは自分に言い聞かせているだけなんじゃないかと、思うのです。何度諦めたと口にしたって、本当はぜんぜん諦められてなんかいない。仕方のないことと言った自分が一番、仕方なくないと叫んでいる。覚悟したと思いこんでいるだけで、本当は覚悟なんてぜんぜんできていなくて、何でもないと言いながら、頭はその何でもないことでいっぱいで、何も手につきやしない」
口に出す言葉なんて、結局はそうあれると思い込んだ願望。本当は、そんなんじゃない。人はそんなに強くなんかない。
大切だと思っているものほど、なおさらに。
「現実であれば、多くのしがらみが出てくると思います。王子様なんだから、その身は王子様だけのものじゃないとか、義務とか、責任とか。でも、これは物語です。ならば己の思うまま、ハッピーエンドにしたって良いじゃありませんか。ご都合主義? どんとこいです」
現実では諦めなければならないものなんて山程ある。もはや平民になった凪でさえ、鎖で雁字搦めになって思うままに動くことはできない。王子であるサーミフならば尚更だろう。だが、だからといって物語にまで制限をつける必要はない。願うことは、罪でも、我儘でもないのだから。
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