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第469話

「私が王妃様のお心を思うなど不敬と知りつつ、あえて言うことをお許しください。きっと、国母としての地位や陛下に唯一愛され、王太子殿下とサーミフ殿下を産んだという名誉、誰もが羨むような生活、使いきれぬほどのお金、捧げられる宝石、それらでは得ることのできない幸せを、ご存知だったのではないかと思います。この離宮を見てそう、思いました」  この離宮は煌びやかではない。もちろん拘りもあれば金をかけている部分もあるだろう。だが、それよりも優先されているものがある。  ここは王妃様が自分の思う通りに作った城。王妃様にとって、居心地の良い空間だ。王妃様が地位や名誉、お金や宝石で幸せになれる人だったなら、離宮はこのような姿をしてはいなかっただろう。むしろ、離宮自体存在しなかったかもしれない。 「……そうだな」  ゆっくりとサーミフが瞼を閉じる。思い出す、ありし日の姿。国母というこれ以上ないほどの地位にいながら、静謐を好んだ人。誰よりも子を愛し、他者を受け入れた人。その優しさが、甘さが、あの日の惨劇を引き起こした。けれどそれを未だ思いの中ですら詰ることができないほどに、それがあの人のあり様だった。

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