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第471話

 子供であった王太子やサーミフよりもよほど犬を構い、そして別れを惜しんで嫌がっていた。大人だからと飼い主たちが帰るまではにこやかに振る舞っていたが、姿が見えなくなった瞬間に泣き崩れた母を未だ鮮明に覚えている。けれどそんな母に慣れてもいたから、王太子と二人でそっと寄り添ったものだ。あの日は結局、落ち込む母を誘って全身を絵の具に塗れさせながら大きな紙に絵を描いたのだったか。――うん、やはり聖母のイメージではない。 「なんだか、殿下に似ておられますね」  ありし日の母を思い出して苦笑していたサーミフの耳に、凪の声が落ちる。一瞬、何を言われたのか分からなくてキョトンと動きを止めたサーミフは、次の瞬間にゆっくりと凪を見下ろした。サーミフの視線には気づいているだろうに、凪は先程とは違いサーミフに背を預けた状態で前を向いているため視線が合わさることはない。だが、凪はサーミフよりもうんと小柄だ。視線は交わらずとも、凪の瞳が楽しそうに細められているのがわかる。

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