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第472話
「似て、いるか……?」
そんなことを言うのは兄たる王太子くらいだと思っていた。兄は母やサーミフの良いところはもちろん、悪いところもよく知っている。強いところも、弱いところも。それゆえにサーミフの中にある母の姿を見ることがあったが、兄以外の者からは言われたことがないので、きっと兄のそれは身内ゆえの贔屓目、あるいは願望だろうと思っていた。だが疑問だらけで困惑していることがありありとわかる言葉を聞いても、凪は迷うことなく頷く。そこに僅かの躊躇いもなかった。
「そうですね。私は王妃様に直接お会いしたことはないので殿下の言葉を聞くなら、という前置きが必要になるでしょうが。それでも、似ておられると思います。厚すぎる情をお持ちだというところなどソックリです」
言われて、サーミフはまたも困惑した。らしくもなく言葉に詰まり、幾度も幾度も瞬きをする。
「…………まさか、そこが似ていると言われるとは、思ってもみなかった」
それも凪に言われるとは。
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