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第475話

 凪がひとつひとつ数えたものを、サーミフは〝あれしきのこと〟と言った。凪が当たり前だと思ったひとつひとつを数えて、サーミフは凪の前に膝をついて頭を下げた。これを情に厚いと言わず、なんと言うのだろう。 「似ている、か……。ならば、私はなぜ――」  母が願った想いを、未だ知ることができないのか。  ポツリとこぼれ落ちたそれは誰に問いかけているでもない独り言のようだった。そっとサーミフが差し出した茶を受け取り、凪は唇を湿らせながらゆっくりと瞬きをする。  王妃様が絵本を渡したのは、諦めてほしくなかったからだろうことは理解できる。サーミフの物語がハッピーエンドたれと。そのために動き、手を伸ばせと。だが、その先は凪にもわからない。サーミフにとっての少年――何をその手に掴めば、彼はハッピーエンドになるのだろうか。 「まぁ、今までわからなかったものがすぐにわかる様になるはずもないか」  また時間をかけるとしよう、なんてサーミフは言う。その普段を装う声音が悲しくて、凪は瞼を伏せた。

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