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第476話

 サーミフが何と思っていようと、他者がどう言おうと、凪はできる限りサーミフのためにありたいと思っている。それが使用人としての勤めでもあるのだ。特にこの絵本の件では力になりたいと、どうしても思わずにいられない。だってサーミフは母君たる王妃様のことが大好きだったのだろうから。そんな、もう会うことも叶わない母君からの、最後の贈り物。それをサーミフの手にと思うのに、どれだけ言葉を尽くしても、それは結局凪の感想や推測にしかならなくて、答えに辿り着くことができない。 〝凪、あなたはお父様とお母様の愛の証なのよ〟  凪が持ち続けることのできなかったものを、サーミフは今も持っている。だからこそ、あなたに得てほしいと願うのに、何の力にもなれない。  閉じた瞼の下で、さらに瞳を伏せる。そんな凪の様子を黒曜石の瞳が見つめた。 「別の人間だから同じにはなるまいとわかってはいるが、参考程度に聞きたい。凪にとっての、少年とは?」  その問いかけに凪はゆっくりと瞼を開いた。

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