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第490話

「王子様はひとつ、彼に問いかけたいことがあります。彼は何のためにここにいるのかと言いました。ならば宮殿を出れば、あなたは自分のために生きることができるのでしょうか?」  トクン、トクン、と鼓動が聞こえる。命を紡ぐ音。そっと、腕の中の彼が瞼を閉じた。 「ナギはたくさんの許しを王子様に与えました。けれど自分自身には与えられないと言うのなら、今度は王子様がナギに許しを与えましょう。王子様からすれば罪にもならぬ普通の感情だったとしても、ナギが許せないと言うのであれば、王子様は幾らでも与えましょう」  罪とも呼べぬあなたの罪を許そう。他でもない、司法の長たるこのディーディア第二王子が許そう。その身に抱く負の感情を、肯定しよう。 「あなたは今この時から、あなたの幸せのために生きて良いのです」  誰のためでもなく、凪自身のために。

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