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第491話

「ナギが望むのであれば、宮殿を出ても構いません。それがナギの幸せになるのなら、拒むことはないでしょう。けれどもし、ナギが良いと思えるのなら、きっと王子様は側にいたいと言うでしょう」  凪の側で呼吸をすることを覚えた。凪の側でなら、自分というものが出せた。無意識ゆえに――否、無意識だからこそ、きっとその場所を求め続けていたのだろう。  だからもし、許されるのなら、あなたに言おう。 「ナギが必要なのだと」  歪な形で始まったもの。こんなふうになるなんて、きっと誰も予想していなかった。それでもここにある今を、嫌だとは思わない。  腕の中の小さな身体が震えている。ジワリと胸元が湿った。それで良いと、サーミフはゆっくりその背を撫でる。 「王子様は何も知りません。それがとても悲しく寂しいのです。だから、教えて欲しい」  かつて歪な感情で伸ばした手。無意識に得たもの。いつの間にか手放せなくなっていたもの。そして、今から始まるもの。 「ナギの好きなものは、何ですか?」  好きな食べ物。好きな場所。好きな色に、好きな光景。 「欲しいものは、何ですか?」  例えば本。例えばお菓子。例えば服。 「どこに行きたいですか?」  大地に広がる神秘的な砂漠か。それともその先にある海か。 「あなたが願うものは、何ですか?」  幸せになれる、掴みたいモノ。 「あなたが思うものを、王子様は知りたいのです」

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