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第493話
「治療薬の副作用とかではない、と思いますがねぇ」
泣き疲れた凪を寝かしつけてから、サーミフは医師の元を訪れていた。確かに情緒が不安定になることばかりが起きているとはいえ、凪があのように感情を揺らしたのはいささか急に思える。銃創の治療による副作用ならば症例があるので判断しやすいが、凪は未だ正体があまり掴めていない毒を混ぜた霧を吸い込んでいるのだ。眠った後に診察した医師も断言はできないと眉間に皺を寄せる。
「ただ、ウォルメン閣下曰く、例の毒は記憶の削除に用いられるもの。それも副作用として寿命が削られていく。それだけでも厄介だというのに、第三夫人が摂取したものや、凪殿が吸ってしまった霧には、言葉のままに動かせるというものまでついています。大きな力には大きな代償を、とは言いますが、まぁ、何もないとは言えませんね。今回の件に関しても症状として感情や記憶が関わっている以上、無関係だと断言することは難しいでしょう」
咄嗟のこととはいえ、慌てる姿を見せず落ち着かせたのは良い判断だと医師はパチパチと気のない拍手をするが、サーミフとしてはそれどころではない。ひとつ間違っていたらどうなっていたかと冷や汗さえも滲む思いだ。
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