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第494話
「記憶を削除し、少しの間だけとはいえ意のままに動かすことができる。そんなもの存在するのかと言いたいところですが、実際にあるのだからそこを論じるのは止めましょう。ただ、ひとつ言えることがあるとすれば、少なくとも新薬か何か、対抗できるものが見つかるまではこの離宮に留まることをお勧めします。あの宮殿は色々な意味でナギ殿には苦痛でしょう。心安らかになれなければ、あの毒に関係なく身体を壊します。そしてそれが毒と合わされば最悪となる。現に第三夫人よりもよほどナギ殿の身体の方が弱ってますからね。言ったでしょう、ストレスを侮ってはいけないと」
排除しようとしたとて、苦痛は向こうからやってくる。こちらの事情などお構いなしだ。人は楽しいことが好きで、時に残酷。凪が苦しんでいるとわかっていても、快楽のためには口も目も閉ざすことはできない。ならば確かに、医師の言うとおりこの離宮に籠っている方が良さそうだ。
「元々こちらに移ろうと思っていたから問題はないが、何か宮殿の方に用事があってもナギは行かせないよう使用人たちには伝えておこう。ナギに言うと、また気に病むだろうからな」
守られ慣れていない凪は、きっと安堵よりも申し訳なさで苦痛を覚えるだろう。それでは意味がない。
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