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第495話

「そうですね。その方が良いかと。宮殿の医師たちとも協力して毒のもっと詳細な解析と解毒剤の開発を進めていますが、やはり情報が少ないため悲しいほどの歩みにしかなりません。これでは新薬ができるのが先か、我々の首が物理的に飛ぶのが先かと言ったところでしょうか」  国王は第三夫人とナイーマ王女を心配するあまり、彼らに必要以上の圧力をかけているようだ。それを知ってサーミフは深く深くため息をつく。 「そんなことをしては進むものも進まないだろうに」  恐怖を与えれば人の思考はそれ一色に染まって停止する。先を急ぐというのなら尚更に、それは悪手だろう。 「というわけで、私の首が物理的に飛びそうになったら殿下が助けてくださいね。ナギ殿の命は私が握っているも同然なのですから」  滲ませるどころかハッキリと脅してきた医師に苦笑しつつ、サーミフは頷く。 「ああ、兄上とも連絡をとってどうにかしよう。対処法や薬を待ち望んでいるのは、父上だけではないからな」  サーミフに医療の知識はない。新薬の開発にも、対処法の発見にも、役には立たない。ならば自分にしかできないことを成すのみだ。  小さく息をついて瞼を閉じる。沈黙が落ちた室内にノックの音が響いた。声だけで許可を出せば、壮年の男が一人、部屋に入ってくる。鍵までキッチリと閉めたのは、サーミフの部屋まで荷物を運んだあの男――今は引退して使用人として働く、影だった男だ。 「あの子から連絡が来ました。おそらくは今日、動くでしょう」  その報告に、サーミフはゆっくりと瞼を開いた。

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