502 / 514
第502話
「私はジュースと言ったけど、ナギが摂取してくれるならスイーツでも何でも良いわ。そこはあなたの腕に任せるとしましょう」
ゆっくりと、見せつけるように開かれた小箱には溢れそうなほどの金貨や宝石が詰め込まれている。それをルナが見ていることを確認して、ローラはゆっくりとその山に細指を這わせた。
「あの、触れても大丈夫だと仰ったということは、ローラ様はこれが何で、どのような効果があるか、ご存知だと信じて良いのでしょうか」
明言してくれなければ瓶の蓋を開けることすら恐ろしいと言わんばかりのルナに、ローラは耐えきれず声をあげて笑う。
「ほほほほほ、もちろん私は知っているに決まっているじゃない。だからあなたは命じた通りにやれば良いの。大丈夫、あなたに害は無いし、成功すれば約束通り、あなたのお父様の手術費用には十分すぎるほどの報酬をあげるわ。そんなに心配なら、前金でもあげましょうか?」
流石にこれでは手術費用の全てを賄うことはできないけれど、と笑って、ローラは無造作に小箱から金貨や宝石を一掴みすると、もう片方の手でルナの手を掴んで引き寄せ、その上にジャラジャラと落とした。ルナの華奢な手が金貨や宝石を掴む。ニィッ、とローラは真っ赤な唇に笑みを浮かべた。これで事は成る。
「液体と報酬、確かに受け取りました。――殿下」
最後の言葉が落ちた刹那、バンッ、と勢いよく部屋の扉が開かれ雪崩のように近衛兵が押し寄せてきた。突然のことに口を開けて目を見開くことしかできないローラを兵士が二人がかりで取り押さえる。周りを取り囲む兵士たちが一斉に銃や剣を突きつけてきた。もしも僅かでも抵抗しようなら一瞬でローラの命は真っ赤に消え失せるだろう。
ともだちにシェアしよう!

