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第503話
「……なにを」
予想外のことに呆然としていたローラであったが、それでも反射的に取り繕おうとでも思ったのか哀れなほどか細い声を出す。しかし兵士に守られながら姿を現したサーミフにそれさえも封じられた。
「ご苦労だったな、エルティナ」
サーミフが視線を向けた先にいる彼女が恭しく頭を垂れる。先程までルナと呼ばれオドオドとしていた姿はどこへやら、背筋を正して両手に持ったものを見せた。
「勿体ないお言葉でございます、殿下。こちらが証拠になります。毒、との証言を得ることはできませんでしたが、成分を解析すれば答えが出るでしょう。このエルティナ、確かにローラ様より小瓶に入った液体と金銭を受け取りました」
どうぞ、とエルティナが侍従長に小瓶と金貨や宝石を渡す。その様子をローラは震える瞳で見つめていた。
「し、知らないわ! 私は何も知らない! だから、それが何であったとしても――」
「先程、私はローラ様に確認いたしました。これが何で、どのような効果があるかご存知か、と。ローラ様は確かに〝もちろん私は知っているに決まっているじゃない〟と仰いました。ご自身でそう仰っておきながら何も知らないというのは、口先だけにも程があるのでは?」
そんなものッ、とローラが口を開くより先に、エルティナは胸元に刺していたペンを取り出した。カチリと小さな音がして、そこから声が聞こえ始める。
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