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第504話

《ナギはベリーが好きだとあなたは言ったわね? なら、これを混ぜたジュースをナギに飲ませてくれないかしら》 《流石に無味無臭というわけにはいかないけれど、用意したのは木苺だから、きっと紛れるはずよ》 《ほほほほほ、もちろん私は知っているに決まっているじゃない。だからあなたは命じた通りにやれば良いの》  聞こえる。この部屋にいる誰もに、その声が。ローラはサッと顔を青ざめさせた。そんな彼女をエルティナは冷たい瞳で見つめている。 「言った言わないの論争をするだけ無駄です。断言するからには揺るぎなき証拠を。これは鉄則です。明言しないよう気をつけておられたようですが、ローラ様は詰めが甘くていらっしゃるので助かりました」  たかが使用人の、それもオドオドと自信なさげな相手だと油断したのだろうか。毒という言葉を出さないようにしていたようだが、それ以外の言葉には注意が向かなかったらしい。エルティナとしてはとてもやり易い仕事だったと言えば、ギッ、とローラは悔しげに唇を噛んだ。その様子を、サーミフが静かに見下ろしている。 「離宮でのナギの様子を知るために密偵を飛ばし、その日のうちに毒を盛るよう動くとは。慎重さには欠けるが、待つ時間が短いのはこちらとしてもありがたいことだ。さて……」  チラとサーミフは室内に視線を向ける。可愛らしく豪華な壺。一点もののティーセット。惜しみなく敷かれた絨毯。そこに散らばった宝石や金貨。どれも一国の宮殿にあって遜色のない物だが、サーミフにすれば違和感しかない部屋だ。

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