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第506話

「にせ、もの……?」  そんな馬鹿な、とその瞳は揺れるが、これはローラを諦めさせるためのハッタリでも何でもなく、純然たる事実だった。 「ああ、そうだな。先程私はこれだけの金銭をもらってと言ったが、実際のところはそう高額なものでもないだろう。ここにある調度品も見た目は良いが使われているのは本物の金や銀ではない。本物ほどの値段はつかないだろう。贋金は論外だが」  これで国外逃亡をして悠々自適に暮らすのは、いかに女ひとり分であったとしても難しいだろう。そんなことをサーミフが淡々と言うたび、青白かったローラの顔に赤が戻ってくる。開き直ったのではなく、怒りで。 「こんな……、こんなもので――ッッ」  事の重大さを完全に理解していたわけではないが、それでも危険があることはローラも理解していた。もらった金銭ならばその危険に見合うだろうと思って引き受けたというのに、偽物だったなんて。

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