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第33話
33.
「すっげ…、綺麗すぎる」
俺は置かれたベンチに腰掛け、溢れかえった宝石のような輝きの星が|犇《ひし》めく空を見上げた。
どこまでも飛んで行けそうな、そんな心地の良い風が頬を撫でている。
あの断罪の後……俺、ノクセス王子とリアンはアズーロ王宮敷地内にあるアーサー専用の邸宅へと招かれた。
ノクセス、リアンの2人は晩餐を終えると客間に案内され、俺はと言うと……アーサーに手を引かれたまま彼の私室へと招かれた。
「親父たちと話をしてくるから、ゆっくりとしていてくれ」と1人残されたその部屋は、深い青と黒で纏められた広い部屋。
――慣れない部屋で落ち着かない、というのもあるが、部屋中にアーサーの香りが漂っていて……それだけで頭も身体もどうにかなってしまいそうだったので、思わずバルコニーへと逃げてしまった。
しかし……なんと言うか、凄いよな。
王宮の敷地内に『離れ』という名目でアーサー専用の屋敷が用意されている。
それは貴族の邸宅ひとつと何ら変わりない。
ブランではこんな事は無かったし、ノクセス王子ですら「珍しいな」なんて零していた……という事は相当稀なのだろう。
こんな屋敷を与えられる程の栄誉をアズーロに対して行ったのか、はたまたこの国家は|そ《・》|う《・》|い《・》|う《・》方針なのか。
ただ、このだだっ広い屋敷にアーサーはいつも独りで居るのか……と思うと、少し心がキュッとなった。
「寒くはないか?」
ベンチにもたれ掛かる俺の首に、ぎゅっと暖かいものが後ろから巻き付く。
「……っ、アーサー……」
ドキッと強く心臓が音を成したかと思えば、そのまま鼓動が高まっていく。
顔を見ようと上を向いた俺の額に、「ちゅ」と音を立てながら温かいものが降り注いだ。
「ロア、ロアッッ……会いたかった」
優雅にベンチの正面の回り、隣に腰掛けるやいなや痛い程に抱き締められた。
「俺も……会いたかった……アー、アルトリウス王子」
「アーサーのままでいい。長ったらしくて呼びづらいだろ」
俺を求めて仕方の無い唇が、顔中にキスを贈る。
その擽ったさに少し身を捩った。
「アーサーは剣の名前じゃん……好きな人の名前は、その……ちゃんと呼びたい」
自分で言っておきながら、赤面してしまった。
こんな恥ずかしい事を言ってしまうのは、きっと……この美しい夜の気にあてられてしまったから。
「可愛い事を言うんだな。ならアルでいい。そう呼べ」
「ん、わかりました。アル……王子」
「王子もいらない。ついでに、改まった態度も絶対に禁止、使ったら許さない」
「……っ、……なら、アル。会いたかった……アル」
彼の背中に腕を回す。
あぁ……この腕の中に戻る事が出来たんだ。
そう思うと、自然に両目から涙が溢れてくる。
「ロア……もう何があっても離れないから。ずっとお前の傍に居る」
「うん……約束、してくれる?」
目元を舐められ拭い取られる涙は、留まるところを知らない。
「あぁ…約束しよう。ロア」
スっと伸びた鼻に自分のそれを擦り合わせ合図を送ると、応えたアルが唇を合わせてくれる。
満月が俺たちを見守る中、何度も「誓いの口付け」を互いに施し合った。
「……なぁ、ロア。今すぐお前が欲しいんだが?」
この雰囲気から想像してもいなかった言葉に、少しだけ驚いた。
い、いや……確かに俺も同じ事は思っていたけれども。
「へ? じゃ、じゃぁ部屋に戻る?」
「いや……待てない」
あの、ここ……あの……バルコニーなんですけど? 部屋すぐそこですけど。
ゴリッとした感触を腰の当たりに感じ「え、まさか…ホントに……?」と一筋の汗が背中が流れた。
首に巻かれたタイは解かれ、ジャケットもベストもシャツの前も開かれた胸元に、アルの顔が埋まっている。
「こ、え……出るから……」
「あぁ、ここ2階だからな。響くぞーその辺一帯に」
「っーー!!」
上目遣いでそう言うアルの口は、俺の乳首を咥えたまま、ぴちゃ、ぴちゅっと音を立てられながらそこを舐められると、嫌でも口から声が漏れ出てしまう。
「……っ、ふ、っ……んふ……ね、だ、め……声、でちゃう……」
口元を手で押え唇を噛んでどうにか耐えるが、それでも溢れる声を堪える事が出来ない。
「ダメって言う割にはいつもより勃ってるな……興奮するか? 誰かに見られるかもしれないという場所は」
愛撫を受けていない方の乳首を、アルが指でツンっと突く。たったそれだけの事なのに、その部分がビリビリと弄られた時のに感じ、思わず腰が揺れる。
そんな趣味はないはず……だけれど、肌を撫でる風とか、声を出してはいけないとか……そういうの考えてると、なんだか妙に身体が熱くなっていく。
「……んっ、ふっ……ちが、ちがぅ……そんなこと」
そんな考えを自分の中から消すように首を振って必死に否定する。
言葉とは裏腹にもう既にズボンにシミを作り始めている下腹部を、俺と同じようにシャツをはだけさせたアルの逞しすぎる身体に擦り付ける。
身体……凄い筋肉。どうしよう、固くて……擦るのきもちい……
未だ乳首を舐め齧り付いている彼の紫色の頭を抱き込むように腕を回し、グリグリと局部を彼の身体必死に擦り付ける。
「違わないだろ? もうイキそうになってる…」
「ちがっ……これは、アルの身体がきもちよく……て、っっ! んんんっっ!!」
急に胸から顔を離したアルに強く抱き締められたので、俺のソレは6つに割れた腹筋に擦られる。
強烈な刺激のせいで……服を着たまま、俺は果ててしまった。
「……や、ばか。アルのばか」
「はは……ロアの『ばか』は、世界で1番可愛いよな」
ぐっちょりと濡れてしまった衣類を膝まで降ろすと、まだ痙攣が残る俺のソレがふるふると揺れながら顔を覗かせる。
アルが「久しぶりだな、お前も」なんて先端を優しく撫でながら挨拶する姿に、本日何度目か分からない「ばか」を繰り出していた。
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