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第34話

34. 「久しぶりだから、ゆっくり解してやろうな」 「へ? ぁっっ、ふっ……!」  何が? と首を傾げる間もなく、慌ててまた口を手で覆う。「堅くなっているだろう」と、アルの中指が撫でた秘部は、予想に反してトロッと柔らかい状態で彼の指を受け入れる。  そんな様子に、アルの眉がぴくっと動いたのを……俺は見逃さなかった。 「どうしてココが柔らかい。まさか、ロア……誰かと……」 「ち、ちがうッ……ちが……っっんんっ……だ、めぇ」  乱暴に、いきなり2本の指がナカに突っ込まれたかと思えば、そのままグチャグチャと荒く掻き回す。  そんな事をされればもう、首を振って唇を噛んで耐えるのに必死だった。 「誰とした?」  アルの声は、先程の弾劾の時のように冷たくて。「ひっ」と反射で悲鳴があがり、視界がじわっと滲む。 「誰ともしてない……!」 「ならば何故? 昨夜触ったかのようにグズグズじゃないか?」  ああ……これ、言わなきゃ治まんないよな。  多分いま、アルは嫉妬でまともに頭働いてないもんな。  ただ、嫉妬に狂うアルに……やっぱり俺の心はときめいてしまった。  ……もう、末期だよ。  目の前の男の瞳は既に闇堕ちをしている。  それはそれで、物凄くかっこ良いし……荒いことされそうで腹部がキュンってするけど、このままは良くはない。  俺は、俯き……遂に言う覚悟を、した。 「……っ、アルが、魔法を使って会いに来てくれた日。寝ようとしたら……色々思い出して自分でシちゃって。そしたら……今度は毎晩止まんなくなって……その、それで……はい」  仕方ないだろ。  アルの事を思い出してしまって、腹部が疼いて眠れなかったんだ。  前だけ触って自慰したけど……それでも治まんなかったんだ。  チラッとアルの反応を伺う。  ……ほら、固まってる! 思考が宇宙の彼方果てに行ってる!!   恥ずかしさでいたたまれなくなり、彼の頭を両手で抱き込んだ。  いまだ反応の無い彼に「アル……?」と問いかけると、  ズルっと指が引き抜かれ、代わりにもう限界まで膨れ上がった熱くて脈打つ彼のソレがナカに挿し込まれた。 「……ーっ! ぁあっ、んぁッッッ」 「あぁ、本当だ。ナカは俺のカタチだな」 そんなん! 分かる訳ないだろー!? っと、ギュッと彼の髪を握り俺は口を噛む。彼は手を伸ばし、自分を飲み込む為に秘部に刻まれた縦の割れ目を、愛おしそうに指でなぞる。 「んっ、ひっ……ぁっ……だからっ……浮気とかない、から……」 「あぁ、疑ってすまなかったな。なぁロア……今度俺の前でシて見せてくれるか?」  声色だけでわかる。先程までの闇堕ちはどこ行った……もうご機嫌過ぎて背後に花が咲いている。 「やだっ……だめ……んっ、ふぁっ……はっ……」 「声、漏れてるぞ」  アルが俺の腰を掴み、遠慮ない突き上げを始めてしまえば、もう声を抑えるなんて出来ない。 「むり……声、でるッッッぁっ、アル……塞いで」  俺を見上げる綺麗な顔に、涙を降らせながらそう懇願する。 「いいぞ……今度、1人でするところ見せてくれるならな」 「ーーっっ!!」  ギュッと目を閉じ、コクコクと首を振る俺の唇が生暖かいもので覆われる。  背に腹はかえられぬ。  アズーロに来て早々、俺の痴態を周囲に大発表する訳にはいかない。  少しだけ開かれ、絶えず声を漏らす俺の口内はアルの舌で充たされた。 「……っ、ふっ……ふ、は……んぁ、アル……す、き」 「ふっ、……は、俺も好きだ……ロア」  一際大きく突き上げられれば腹の奥が痙攣し、アルの口内で喘ぎながら、俺も欲を放った。 ―― 「俺とアルってさ……運命の相手なのかな?」 「なんだ? 目覚めて急に…」  あれからどのくらいの時間が経ったのか。 部屋に戻ってからも互いに身体を貪り合い、気付いたら気を失ってた。  漸く意識を取り戻し、うっすらと目を開けた。  横でアルは添い寝をしながら俺の髪を優しく撫でるように梳いている。  その姿を見ていると、なんだか幸せな気持ちでいっぱいになり……アルと出会わなければれば、こんな気持ちは味わえなかったのかな、なんて思ってしまった。 「だってさ……アルが生と死の狭間で、俺の愛剣に魂が移るって凄い偶然じゃない? しかも、その愛剣と2人で突然の国外追放……その先でアルが人間になって愛し合うって。普通ありえないよ」  アルに出逢えた。それは本当にかけがえのない事。  こんな偶然を起こしてくれた神様に、感謝するしかない。 ―― 「そうだな。凄い、偶然だ」  目の前で幸せそうに微笑んでいる、この世の何にも変え難い程愛しい男に、  俺はそんな……心にもない台詞を吐いた。  ――『ごめんな、ロア』 「だよね! じゃぁやっぱり……運命、じゃん」  ――『偶然なんかじゃないんだよ』 「……はは、自分で言って赤くなるなよ。可愛いな」  ――『確かに、俺とお前が出逢ったことは運命だろう』 「っっっ!! ……ばかにしてる?」  ――『でもな……それ以外は全て俺の描いた絵図』 「してないしてない、する訳ないだろ。……愛してるよ、ロア」  ――『だって、これは』 「絶対してるじゃん! そんなアルの事……俺も、愛してる」  ――『俺が、俺の《死》を利用して、4年越しにお前を手に入れる為だけに起こした……【|茶番劇《シナリオ》】、なんだから』  

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