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月夜の逢瀬 2
感じる。
シェルのスリットの入り口をなでて、奥へとすべりこんでくる、ネロの指先を。
そこには、シェルのものがしまってあるはずなのに。
すっかり萎縮して奥でちぢこまっているシェルの先っぽを、ネロの長い指先が軽くなでた。
ビリッと背びれを電流のような痺れが駆けぬけて、尾びれをくねらせたら、ネロのもう片方の手がシェルの背びれをやさしくなでた。
ネロの指先は、さらに奥へ入りこんでくる。
(そんなところ、何もないのに)
ネロの指先がスリットの奥壁をなでるたび、シェルの尾びれもひとりでにくねる。
何かを探しているらしい。
やがて、指先がなにかを引っかいた。指の腹で、やさしく。
「あぁぁんっ……!」
雷に撃たれたような衝撃が頭のてっぺんまで走り抜けて、シェルは絶叫していた。
背中をのけぞらせて、尾びれをがむしゃらにくねらせてネロの腕のなかから逃げようとした。全力で暴れているのに、ネロの片腕だけでがっちり抱きしめられて、びくともしない。
スリットの奥ではネロの指先が、隠されていたシェルの入り口をこじあけたところだった。
入り口を指先で突かれて、何度か浅いところで出し入れされて。シェルの入り口はあっさり陥落した。ひくひく震えながら蜜を吐いて、ネロの指を咥えこもうとする。
シェルの尾びれが暴れてたてる波が、強烈に甘く匂った。
「くっ……」
シェルを抱きしめたまま、ネロが苦しそうに顔をゆがめた。
「すげぇ、匂い」
「はなし、てっ……」
「俺、限界っ、かも」
「あぁっ……だめっ……ネロっ……」
シェルの入り口をいじっていた指が、ずるりとスリットから引き抜かれた。
「ぁぁあんっ……!」
みっともない嬌声をあげてのけぞって、ネロの肩に倒れこんだシェルのスリットから、甘ったるい蜜があふれだしてくる。
ネロの肩にもたれてぐったりしているシェルの耳もとで、ネロが荒く水を吐くのが聞こえた。
大きな手のひらで腰をつかまれて、ネロの尾びれを押しつけられる。
しなやかで筋肉質なネロの尾びれ。
自分の腹にぴったり重ねられた引き締まった腹を、ネロがゆっくり突き上げてくる。それから、なんだろう、かたくて、すごく熱くて……どくどくと脈打っているもの。
あっ、とシェルが腰を引こうとしたら、ネロの大きな手のひらに捕まえられて、その熱い脈打つものをグッと押しつけられて、そのままゆるゆると揺さぶられはじめた。
「ネロ、それっ……」
恥ずかしくて、すこし怖くて、どうしたらいいかわからなくて。こすりつけられる熱い昂ぶりから逃れようと尾びれをくねらせたら、ネロの手でがしっと掴まれて、ますます強く押しつけられて、また、ドクンと脈打つのを肌のうえに感じて、腹の奥が熱く疼いた。
「シェル」と、青灰色の頬を赤くして、恍惚とした顔でネロの紅い目がシェルを見つめて、耳元に低くささやいた。
「……挿入れて、いいか」
切羽詰まった声。
スリットの奥がきゅうっと疼いた。
「シェルの、なかに」
熱くてかたい先端が、シェルのぴったり閉じたスリットをなぞる。
硬い先端で、襞の重なりを押し開けようとする。
うそ。
待って、ネロ。
「なあ、シェル」
逃げようともがくシェルの腰をぴったり抱き寄せて、先端でスリットの谷間を撫であげて、ネロが自分の熱い昂ぶりをシェルの腹に押しつけてきた。
かたちも、太さも、長さも、すべてはっきり感じとってしまうくらい、密着した肌に深く沈みこんでくる。シェルのものより、ずっと大きくて、ずっと太い。
「俺の、わかるか」
「え、えっと……ご立派ですね」
「ばか」
荒く水を吐いていたネロが、耳もとで苦笑した。するどい歯がシェルの耳をやさしく噛んだ。
「これ、お前のなかに入るんだよ。奥まで」
ネロの先端は、すでに何か熱いものでぬるぬるしている。
それがシェルの腹を下からゆっくりなぞりあげて、鳩尾の下あたりをやさしくこすった。
全身がぞくぞくと震えて、またスリットの奥が熱く疼いてきゅうっと締まった途端、奥からとろりと蜜が溢れだした。
打ちよせる波が、強烈に甘く香る。
とっさに隠そうと尾びれをくねらせて、そのせいで、ネロにばれてしまった。
「期待、してる?」
嬉しそうな声が、低くささやく。
「えっと……む、ムリ、だと思う」
思わずつぶやいたら、低い声が耳元で笑った。
「ムリじゃねぇよ」
「だって、その、サイズが」
「いけるって。……挿入れるぞ」
耳にやさしく噛みつかれて熱い舌で舐められて、また奥が疼いた。
スリットの奥から、甘ったるい何かが溢れだしてくる。切なく泣いているみたいに。
(ほしい)
ネロの。
これが、ほしい。
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