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第3話
それからサギは今までが嘘だったかのように滔々と語り始めた。曰く、あの時俺がサギを見た時のあの冷めた目で「目覚めて」しまったと。それなのに俺を跪かせてしまったことで大パニックになったと。罪悪感で張り裂けそうになりながら数え切れないくらいあの目で抜きましたって懺悔されても俺あの時の自分の顔まではさすがに覚えてないんだけど…。
「というわけなんだが」
「うん、どういうわけなんだか全く分からないけどいきなりコマンド出したことについて謝ってくれる?」
「えっ、…あっ、」
「は?無意識なの?あの時から何も学んでないの?馬鹿なの?」
「す、すまない …」
思わず心の声を漏らすと謝りながらも心なしか嬉しそうな顔になった。うわガチじゃんこいつ。
「…さすがにネコって言われたらグーで殴るけど」
「それは安心してほしい。タチとして全身全霊を尽くして奉仕してみせる」
「そういえば俺Ωじゃないけどそれは?」
「その点についても心配ない。子供がいなくても後継者を用意することはできる」
「…俺きれいな体じゃないけどいいの?」
「知っている。…すまない。」
Subにとってプレイをしないこと、それすなわち死だ。未成年の間はまだ無料で政府のDomが派遣されてたからなんとかしのげた。でもそれ以降は?どうやって生きていったらいい?
俺みたいなグレた奴が高校なんて行けるわけもない。逃げるように親元を離れてウリやって、プレイ欲も満たしつつ生計立ててきた。でもそれなりに顔は整っている自覚はあるけど正直Ωの奴らには到底及ばない。見た目を維持するのには金がかかるし、そろそろ若いとは言えなくなってきた。だからサギは超優良物件だ。性癖はやばいけど。ちなみにセーフワードは「マスター」だって。…うん、なんかそうなる気はしてた。
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