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第5話
「とりあえずそれ外してこい、そんな状態で会話するな」
「分かった…ちなみに予備はいくらでもあるから大丈夫だ」
「わかったわかった、そんなこと申告しなくていいから」
手でしっしっと追い払い、プレイルームのトイレのドアが閉まるのを見届けてからさてどうするかと考える。
とはいえどうもこうもない。さっき言ったとおり答えはYesだ。そしてサギは俺に雑に踏まれたくらいで射精するような奴だし、俺は何も無理をする必要はない。イチャラブの部分はまあ…一緒にいりゃなんとかなるだろ。顔もいいどころか声もいいし、グレアの相性も悪くない。性癖はかなり残念だけど、俺が傷つくようなものじゃない。だから断る理由がないんだよな…。
そんなことを考えていたらサギがトイレから出てきた。俺が土足で踏んで少し崩れた髪もセットし直してある。やっぱ顔はいいんだよなこいつ。
「それで?この後どうするんだよ。俺達が出ていくのみんなに見られてたぞ。そろそろ不審がられる頃だからもう戻らないとだろ?お前はともかく俺はちょっとあの中に戻る勇気はないわ」
「私も今すぐ君を連れ帰りたいところだが…」
「お前は幹事だろ」
「そういうことだ。さっき車を手配した。一足先に私の家に上がっていろ」
そう言って合鍵を手渡された。
「…俺が断るとか思ってないわけ?」
「……断りたければ断ってくれても構わない。ついでに罵っていただければ」
「そういうとこだよお前…わかったよ、俺が悪かった。俺がいるんだからそんなネタを形見にしようとするな」
「これ以上幸せになっていいんだろうか、正気に戻るために一回本気で私の顔を殴ってくれないか」
「てめえ…」
胸ぐらをつかんでキスしたら、鳩が豆鉄砲食らったような顔になった。ちくしょう、こっちも顔が熱い。
「…待ってるから」
そう囁いて、呆然と立ち尽くすサギを置いて部屋を出た。ああもう知るか。
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