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第6話

 車に揺られて着いた家がまた凄かった。コンシェルジュのいるマンションの最上階の角部屋っていうのはまだ理解できた。部屋が異様に片付いていたのもまあ予想はついた。  おかしいなと思ったのはベッドがダブルで枕が2つあったことだ。ちょっと気になって色々見た俺が馬鹿だった。皿も歯ブラシも2つずつある。もしやと思ったら服まである。当然の顔をしてパンツまである。もちろん全部俺のサイズぴったりだし、俺がよく着てるようなやつだ。…パンツも。  やばい。何がやばいって俺に振られた場合この哀れな衣類達がどうなるか想像できてしまうところがやばい。俺も大概壊れた自覚はあるけど、ちょっとこいつと張り合えるか自信がなくなってきた。どんな顔をして奴の帰宅を待てばいいんだ。  とりあえずスウェットに着替えて死んだ目でテレビ見てたらサギが帰ってきた。 「すまない、待たせただろうか」 「お前やばいな」 「…ああ、見たのか…」 「センスだけは褒めてやる。それで?お前勃つの?一応準備はしておいたけど」 「君の適応能力に心から感謝する。…あれからそれなりに飲んだが、多分大丈夫だとは思う」 「じゃあシャワー浴びてこい、今すぐにだ」 「かしこまりました」  そう言ってサギが脱衣所に消えたのを見送ってから、俺は「あ、コンドームとローション探すか」って思い出した。それが新たなパンドラの箱を開けることになるとは知らずに。

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