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第8話 ※

「はあ…なんかヤる前からどっと疲れたわ…」 「するのは確定事項ということを喜んだ方がいいのだろうか…?」 「は?何言ってんだよ今更しないとか言わねえし別れるとも言わねえよ。むしろ俺のことをそれだけ愛してくれてるってことなんだろ?嬉しくはあるんだよ嬉しくは。ただ頭がついていかないだけで」 「…ありがとう」  言いながらサギが顔を近づけてきたので応えてやる。やたら丁寧に口内をなぞってくるキスは少し不気味だけど単純にうまくて、早くも腰が砕けそうになる。 「…サンキュー、いい感じに脳が蕩けてきた」 「それはよかった。力抜いて(Ease)」 「ん」  脱力した俺の額に軽くキスしてから、サギは手際よく俺の服を脱がして、仰向け(Roll)に寝かせた。 「…聞いてはいたが、傷跡だらけだな」 「興奮してるくせに」 「…ああ。君が今まで誰にどんな風に犯されてきたかを思うと、怒りや悲しみよりも悦びが先に来てしまう。すまない」  気遣わしげに、でも少し愛おしそうにサギが俺の体の痕をなぞる。ちょっとくすぐったい。 「いーよ。わざわざ他の奴に抱かせるとかじゃなきゃ」 「それは絶対にしない。主人を売る奴隷など奴隷失格だ」  そう言ってサギは俺の足の指に口付けると、そのまま口に含んだ。 「ふっ、ぅ」  なんだこれ。足の指ってこんなに気持ちよかったっけ。脳を灼ききりそうな多幸感のせいで、まるで性器を舐められているかのように感じてしまう。時々寄越されるグレアが脳のてっぺんに突き刺さるみたいだ。脱力させられてるから身をよじって快楽を逃がすこともできないし、声を我慢することすらできない。これでほんとに性器舐められたらどうなるんだろ、と他人事のように思う。  ふやけるんじゃないかと思うくらい舐めた後、サギは足からだんだん上に上がってきて、ためらいもなく俺の性器を口に入れた。 「ぁ、んん、」  思った以上に気持ちよくて軽く舐められただけで射精してしまう。それなのに顔を少し赤らめて恍惚とした顔で俺のを舐めるサギは本当に俺のことが好きなんだなと思えた。

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