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第10話

「あーあ、散々な目にあった」  今度こそ力が1ミリも入らない。大の字になって俺は言った。 「満足いただけたようで何よりだ」 「俺は満足だけどさあ、お前物足りないんじゃないの?」 「君に奉仕するのは私にとって至上の喜びだ」 「てか噛んでくれても良かったのに」 「主人を許可なく噛むことはできないだろう」 「いいじゃん減るもんでもなし、番にもなれないし」 「何度も噛んでたらΩになるとも言うが」 「あー、ビッチングな、別に構わねえよ」 「むしろ私の方がΩになれればよかったんだが」 「やめとけ、ΩDom(女王様)はお前には似合わないし俺はお前を抱きたくはない」 「そうだな…せめてロール性は逆だったらよかったとは何度も思ったことがある。君のグレアを浴びてみたかった」 「……ないものねだりは良くないぞ。それにお前のグレア、俺は好きだな」 「もっと言ってくれ」 「愛してるよ、栄駿」  そう言うとサギが固まった。言えって言ったのそっちだろ。 「…すまない、君の人生を壊したのは私なのに」 「今更だろ。それにもうお釣りが来てるよ」 「……私も君のことを愛している」 「分かってる。今度こそ絶対に逃げるなよ」 「ああ」

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