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番外編1 第2話

こっそり隣の部屋に忍び込み、とりあえず、とリビングのドアに耳をつけたまでは良かった。それで聞こえてきたのがこれだ。微かとはいえ防音なのにこれだけはっきり聞こえてくるとかどんだけ声でかいんだ。 ドン引きするつもりだった。そしてなんだかんだ言って受け入れてやるつもりだった。だけどサギの声を聞いたら、なんかふつふつと怒りが込み上げてきた。 なんだよ、俺とのセックスの時はこんな声出してなかっただろ。それに「一輝様」ってなんだよ。俺をそんな風に呼んだことないじゃん。 でも何が一番腹立つって、ディルドなんかに嫉妬してる俺が1番腹が立つ。 どうするか。ここで突入するのもそれはそれで負けたみたいで嫌だ。なんか静かになったし、このままだと俺がここに来たことバレるな…帰るか。まだ片付けとか時間かかるだろうし。 そう思って耳を離そうとしたちょうどその時。 「うおっと!?」 ドアが開いて、よろめいた体を受け止められる。 「…一輝」 …終わった。 多分そう思ってるのはサギの方なのに、なぜかそんな気がした。 というわけで裸で土下座しているサギの前で腕を組む。恥ずかしくてサギの方は見られないけど。 「お前さあ、なんでそんな我慢してたわけ?」 「…申し訳ありません、一輝様のことを信じられなかった私の責任です」 「いや叫んだのは俺だから…ごめん、俺が悪いのは分かってるけど、聞かずにはいられなかった」 「……一輝様、私はこのように卑しい欲に塗れ、それを自制することもできない愚かな奴隷です。それでも許していただけますか?」 頭を下げたまま言われたその言葉にカチンときた。 「…見せろ」 「…は?」 「お前がさっきまで何やってたか見せろって言ってんだよ」 「えっ、なんで、」 「いや違うな、俺にやらせろ」 「ちょっと待ってくれ、一旦落ち着こう」 「いや無理、やっぱ腹が立ってきた、いいか?お前とは違って!俺には!寝取られ趣味はねえんだよ!」 「…後悔しないか?」 「しねえよ」 「そうか、なら…ベッドに行こうか」 スイッチが入ったようにサギが俺に微笑みかける。それを見て、寒気だか興奮だかわからない感覚が背筋を走った。

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