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怜央先輩にお仕置き①

「クール・ビューティー」って言葉がある。  もしも、怜央先輩を知らない人に、この賛辞がいちばん相応しいのは誰かって聞いたら、挙げられる名前は分散すると思う。  だけど、怜央先輩を知ってる人なら、きっと誰しもが怜央先輩の名前を挙げるだろう。  高校二年生にはちょっと思えない色香が、細い線で描かれた輪郭に溢れ返っている。           ♫ ♫ ♫  前髪を自然に流したショートの下には、鋭利な“知性”を窺わせる切れ長の目が、流星の尾のように目尻を撓らせている。  綺麗に筋の通った鼻が、唇と見事に調和して、お互いの魅力を惹きたて合っている。  どんな陳腐な言葉でも、そこから放たれた途端に危険な響きを帯びてしまうような、妖しい輝きを纏った唇だ。         ☆☆☆☆☆  ワインレッドのビキニパンツを太股から引き上げて、悠馬先輩が勃起したペニスを仕舞ったのを見届けると、浅井先生は怜央先輩のほうを向いて、言った。 「次は怜央に“お仕置き”だ。お前のチ×ポも見せてもらうぞ?」 「はい……」  怜央先輩は素直に頷くと、自分が何をするべきか分かっているといった感じで、手早く制服やシャツを脱いだ。  あっという間にサファイアブルーのビキニパンツ姿になった怜央先輩だけど、僕はそんな怜央先輩を見て息を呑んだ。          ♫ ♫ ♫  “クール”な顔立ちが魅力の怜央先輩だけど、肉体の美しさも、実のところ悠馬先輩に引けを取らなかった。  悠馬先輩に比べれば色白ではあるけれど、隆々とした筋肉が肉体の端々で存在感を見せている。  この逞しい肉体と、知的な雰囲気を纏う顔立ちが生み出すギャップが、“ノンケ”の僕の目ですら奪うほどセクシーだった。          ♫ ♫ ♫  悠馬先輩のビキニパンツ姿に続いて、怜央先輩のビキニパンツ姿にも僕がまた見惚れてしまったように、浅井先生もやっぱり興奮したみたいだった。  まるで絶景を眺めているかのように、“強面”を隅々まで綻ばせて、怜央先輩を眺める。    しばらく何か考え込むような様子を見せた後、先生は言った。 「悠馬のチ×ポは乳首をくすぐって勃ててやったが、同じことをやるのも面白くないしな。怜央のチ×ポは、尻の穴をくすぐって勃ててやろう……?」    怜央先輩の顔が微かに強張った。  でも“拒否権”は与えないと言わんばかりに、先生は立て続けに指示を出した。 「そこに立って、尻を突き出せ……?」  先生が指差したのは、ちょうど僕の真正面の壁際だった。  一瞬は緊張したみたいだけど、すでに仲の良い友達の悠馬先輩が“お仕置き”される様子をずっと見守ってきた怜央先輩だ。  このおぞましい「生徒指導室」の“空気”にも、もうすっかり感化されたみたいで、何の抗議もすることなく浅井先生に従った。  先生に言われた通り、怜央先輩は奥の壁際に行くと、こちらに背中を向けた。  さっきの悠馬先輩と同じように、サファイアブルーのビキニパンツを太股の中ほど辺りまで下ろして、お尻を丸出しにした。  引き締まったセクシーなお尻で、僕はまたも見惚れてしまったけど、僕の視界はすぐに遮られてしまった。  浅井先生が、怜央先輩のお尻を前に腰を下ろしたからだ。 「フフッ、これが怜央の尻の穴か……? なかなか可愛いじゃないか……?」  嬉しそうに呟いた後、先生は――さっき悠馬先輩にそうしたように――怜央先輩の“経験”についてのインタビューを始めた。 「お前も、女子とはヤッたことはあるのか?」 「はい。中学の頃に、十人くらいとヤリました。ナンパして知り合った女の子ばっかりですけど……?」 「じゃあ、男とは?」 「いえ、ないです……」 「じゃあ、お前にも男同士の“快楽”を教えてやろうな……?」  微かな笑みを湛えた声で先生がそう言った、直後のことだった。 「せ、先生っ……あ、あの……?」  いつも冷静沈着な怜央先輩が、分かりやすく狼狽する様子を見せた。  僕は怜央先輩が狼狽えるところを、その時初めて見た。 「どうしたんだ?」  先生が不思議そうに訊ねると、怜央先輩は微かに声を震わせて、答えた。 「あの……チ×ポが疼いて……も、もう勃っちゃいそうなんです……?」  さすがの浅井先生も、この時ばかりは驚いたみたいだった。  “クール・ビューティー”の怜央先輩が珍しく動揺しながら、まさかこんなにも早くオチ×ポを勃てるなんて思ってもみなかったんだろう。  しばらくの沈黙が、体育倉庫を包み込んだ。 「ハハハハッ!!」  この沈黙も破ったのは、浅井先生の豪快な笑い声だった。 「ハハハッ……そうか、俺に尻の穴を見つめられて、興奮しちゃったんだな? ハハハ……」 「そ、そんなに笑わないでください……は、恥ずかしいです……」  やっぱり怜央先輩にしては珍しく、弱々しい声で浅井先生に哀訴する。  そんな怜央先輩を慰めるように、先生は穏やかに返した。 「恥ずかしがる必要なんかない。そもそも、ビンビンに勃ったチ×ポを俺に見せることが“お仕置き”なんだから、俺としては寧ろ嬉しいくらいだ……? チ×ポを勃てるといことは、お前が素直に反省しているということだからな……?」  と、そこでまた先生は――さっき悠馬先輩と楽しんだような――下らない“お遊戯”を思いついたようだった。

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