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恋に落ちた“いじめっ子”③
「怜央……中指と薬指を……代わる代わるお尻の穴を置くんです……」
すぐ目の前にある怜央先輩の顔を見つめたまま、悠馬先輩は浅井先生にその愛撫の詳細を明らかにする。
「中指の時は……指先でお尻の穴を強く押すんです……それが……指がお尻の穴に刺さりそうで、ちょっと怖いんだけど……その中指がスッと退いて、薬指で優しくくすぐられると……怖かった分だけ、余計に感じちゃうんです……」
「フフッ……」
浅井先生が笑った、直後のことだった。
「あ――ッ!?」
悠馬先輩が体をビクッと仰け反らせて、甲高い声を上げた。
愛撫を再開した怜央先輩が、中指の先で悠馬先輩のお尻の穴を強く押しているんだろう、ってことは分かったけど、今回は今までよりずっと長い。
「あ、あぁぁ、あ――」
そのうちに、悠馬先輩の声が、微かに震え始めた。
「れ、怜央……ダメだよッ!? そ、そんなに強く押したら……怜央の指が……お尻の穴に……刺さっちゃうッ!? あ――ッ!?」
きっと本当に怖いんだろう。
悠馬先輩は切羽詰まったように訴えるけど、怜央先輩は指先に込める力を緩めるつもりはないみたいだった。
「ダメダメダメ――ッ!? さ、刺さっちゃうッ!? さ、刺さっちゃう――ッ!? ああ、ああ――ッ、ダメダメダメダメ――ッ!?」
でもそこで突然、悠馬先輩が安堵の溜息を漏らした。
怜央先輩が指先から力を抜いたみたいだった。
けれど、安堵の溜息の途中から、悠馬先輩は甘ったるい声を漏らした。
怜央先輩が、しばらく休止していた悠馬先輩の右の乳首への愛撫を再開したからだ。
「あんっ、あんっ……あんっ、あんっ……」
さっきとは違って、今度は不規則なリズムで、怜央先輩は悠馬先輩の乳首を指先で転がす。
「あんっ……あんあん、あんっ……あんっ……」
何度か悠馬先輩を悶えさせたところで、怜央先輩はまた愛撫を小休止すると、指先は乳首に添えたままで、悠馬先輩に聞いた。
「ねえ悠馬……どうして悠馬の乳首はビンビンに勃ってるの?」
「え……?」
脈絡のない唐突な質問に、悠馬先輩は戸惑う様子を見せつつ、答えた。
「それは……怜央にくすぐられたからだよ……?」
だけど、怜央先輩は、この返答に空かさず鋭い指摘を入れた。
「俺じゃないだろ? 浅井先生にくすぐらたから、勃っちゃってるんだろ?」
「う、うん……」
悠馬先輩がちょっと決まりが悪そうな顔をした。
でも、傍らで二人をずっと眺めていた僕も、怜央先輩の言っていることは正しいような気がした。
♫ ♫ ♫
さっき、悠馬先輩は浅井先生にお尻の穴にキスされながら、乳首をくすぐられた。
悠馬先輩はずいぶんと感じていたみたいだから、ビンビンの乳首だって、きっとその時に勃ったんだろう。
♫ ♫ ♫
不安そうな顔をする悠馬先輩に、怜央先輩が質問を重ねる。
「浅井先生に、乳首をくすぐられながらお尻の穴にキスされた時、悠馬は感じた……?」
この質問に、悠馬先輩は“イエス”か“ノー”では答えなかった。
代わりに、僕が見ても可哀想に思えるほどにあたふたしながら、怜央先輩に弁解した。
「あの時は……まだ……“悪ふざけ”のつもりだったんだ。お尻の穴にキスされるなんて初めてだったし……ただの興味本位だったんだよ……?」
だけど、怜央先輩は悠馬先輩が明確な返答をはぐらかすことを許さなかった。
「俺は感じたかどうかって聞いてるんだけど……?」
そう問い詰められた悠馬先輩は、束の間沈黙していたけど、結局は観念したみたいだった。
「感じたよ……?」
「俺、悠馬のことが許せない……」
「え……?」
「お尻の穴のファーストキスを浅井先生に捧げた悠馬のことが、許せない……」
「ごめん、怜央……あっ、ダ、ダメ――ッ!? んあ――ンッ!」
怜央先輩が、悠馬先輩のお尻の穴にのせている中指の先に、また力を込めたみたいだ。
「ゆ、許してッ!? 怜央ッ、許して――ッ!? あぁッ!?」
「許してほしかったら……俺にもキスさせて……?」
「えッ!? ん、あぁあ――ッ!?」
「俺も……悠馬のお尻の穴に、キスしてみたい……?」
「んんぁ――ッ!?」
「キス……してもいい?」
「い、いいよッ!? だから、ゆ、許して――ッ!?」
「フフッ……じゃあ、、許してあげる……?」
怜央先輩が指先の力をまた抜いたみたいだ。
悠馬先輩の悲鳴が治まって、体育倉庫に沈黙が訪れた。
その静けさの中で、悠馬先輩はワインレッドのビキニパンツをずらしたまま、また奥の壁に両手をついて、お尻を突き出した。
「俺も……キスが欲しいよ。怜央のキス、お尻の穴に、欲しい……」
その言葉に誘われるように、怜央先輩が悠馬先輩の後を追った。
サファイアブルーのビキニパンツを太股の真ん中辺りまで下ろした格好で、悠馬先輩のお尻を前に腰を下ろす。
しばらく、悠馬先輩のお尻を見つめた後だった。
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