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蹴り上げられるペニス③

「怜央、俺もやってみたいッ!?」  まるで目新しいゲームに挑戦するみたいに、悠馬先輩が意気揚々と名乗りを挙げた。 「俺が伊織にその台詞を言わせてやるッ!?」  大切な“彼女”のお願いを、怜央先輩が断るはずもなかった。 「じゃあ、頼んだよ……?」 「うん!」  向き合っている僕と怜央先輩の間に、悠馬先輩が割り込んだ。  ニヤニヤ笑いながら、僕の顔を眺める悠馬先輩だったけど、いきなり「自白の強要」には挑まなかった。  まずは――今さらではあったけど――二人から“いじめ”を受けていたことを浅井先生に告げ口した、僕の罵倒から始まった。 「お前……俺たちに『いじめられてる』って、先生に“告げ口”したんだよな……?」 「ごめんなさい……あ、あんっ……」  僕は――やっぱり恥ずかしい声を交えながらだったけど――素直に謝った。  “告げ口”したことは、紛れもない事実だったからだ。  だけど、悠馬先輩の鬱憤の原点は、そこにあるみたいだった。 「おらあッ!?」  無言で蹴り上げた怜央先輩と違って、悠馬先輩は威勢の良いかけ声とともに、右足を振り上げた。 「んあぁッ!?」  一撃喰らわした後、悠馬先輩は苦痛にのたうった僕に、懇々と“お説教”する。 「俺たちは、誰にも相手にしてもらえないお前と、遊んでやってたんだ……? それなのに“告げ口”するなんて、生意気なんだよ……?」  それから、悠馬先輩は――さっきの怜央先輩を見倣ってなのか、今度は無言で――実に十三回連続で、僕の勃起したペニスを蹴り上げた。 「あおぉッ! んあぉッ! んあぉ! んあぉ! んああッ!」  体育倉庫には、悠馬先輩の足がペニスを打つ鈍い音と、僕の悶絶の声だけが響く。 「んおぉ! んおおッ!」  七回目が終わったところで、僕は容赦をせがんだ。 「もう許してッ!?」  だけど、悠馬先輩は黙殺して、さらに蹴り上げる。 「んあおッ! んはぁッ! んあ! んあぁ! んはぁッ! んああッ!」          ♫ ♫ ♫  そんな風にして、十三回ペニスを蹴り上げられた時、僕は静かに泣いていた。  肉体的な苦痛というよりも、こんな仕打ちに遭っている自分があまりにも惨めで、泣いていた。  けれども、浅井先生は乳首の愛撫を続けているせいで、恥ずかしい声は止められない。 「あ、あんっ……は、はぁん……」  涙を流しながら、それでも恥ずかしい声を漏らしている自分が、余計に惨めだった。           ♫ ♫ ♫  一方の悠馬先輩は、泣きながら破廉恥な声を漏らす僕を冷めた視線で眺めながら、平坦な声で言った。 「『僕は悠馬先輩をイヤらしい目で見て、チ×ポを勃ててしまいました』……」  散々ペニスを蹴り上げられたせいなんだろう。  ついさっきとは打って変わって、僕は二人に刃向かう気概をすっかり挫かれていた。  二人からの「自白の強要」に応じる抵抗も、もうなかった。 「ぼ、僕は……はぁ、んっ……悠馬先輩を、イ、イヤらしい目で、見て……あぁっ……チ×ポを……勃てて……しまいまし、た、あんっ……』          ♫ ♫ ♫  こうして、僕が“冤罪”を認めると、悠馬先輩は満足そうに笑った。  だけど、僕には安堵の時間はなかった。  今度は浅井先生が、残酷な「いじめ」に乗り出したからだ。          ♫ ♫ ♫ 「伊織のチ×ポは、どうして勃ってるのかな……?」  ずっと続けていた乳首の愛撫を久しぶりに止めて、唐突に浅井先生がそう聞いた。  少し前に、先生が悠馬先輩の乳首を愛撫した時に使った、子供に話しかけるような口調だった。  僕は返答に窮した。  実のところ、その理由は「先生に乳首を愛撫されているから」ということになるけれど、さっき馬鹿正直にそう答えて、怜央先輩に叱咤されたばかりだ。  だからと言って、他に適当な言い訳も思い付かない。  困惑しているうちに、先生が冷笑を含んだ声で囁いた。 「もしかして、チ×ポを蹴られて嬉しいのかな……?」 「え……?」  思いがけない一言に、僕は唖然とした。  もちろん、嬉しい訳がない。  先生の推測は明らかに的を外した“邪推”だった。  けれど、僕は否定も出来なかった。  否定すると、また恐ろしい仕打ちが待っているような気がしたからだ。  結局、ただ押し黙るしか出来ない僕の沈黙を、浅井先生は強引に「肯定」と見なした。  そのうえで――まるで初めて鉄棒の“逆上がり”に成功した子供にそうするみたいに――珍しく、僕を褒めてくれた。 「それでいいんだよ、伊織……?」  先生がまた乳首の愛撫を再開した。 「あっ、あ、あは、はん……」  また乳首の快感で喘ぐ僕の体に、言葉のひとつひとつを染み込ませるかのように、先生は僕の耳元でゆっくりと語る。 「さっき悠馬が言っただろう? 二人は誰にも相手にしてもらえないお前と、遊んでくれてるんだ……?」 「あ、あんっ……あ、はん、あ、あ、あぁ……」 「だから、これからは、たとえ“いじめ”であっても、二人から相手にしてもらえることを感謝しなくちゃダメだ……?」 「あんっ、あ、ん、ん……」 「いじめられることを、喜ぶんだ……?」 「あんっ……あ、ん、あっ……」 「いじめられてチ×ポを勃てる、“変態マゾヒスト”になるんだ……?」  

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