19 / 25
ついに始まった「いじめ指導」
「そ、そんなの、絶対にイヤですッ!?」
珍しく……というよりも、初めてかもしれない。
僕は浅井先生に刃向かった。
「“変態マゾヒスト”になんか、なりたくないッ!」
♫ ♫ ♫
さっきの「自白の強要」には応じた僕だったけど、今回はさすがに頷くことは出来なかった。
もちろん、僕だって分かっている。
生徒指導の浅井先生が“いじめっ子”の味方についているということは、二人の僕に対するいじめは学校側の“公認”ということだ。
どんなにいじめても叱咤されないとなれば、二人はこれから先もいじめを続けるだろう。:
そのいじめに耐える覚悟は、いつかは出来そうな気がした。
だけど“いじめられっ子”にも、男子としての「自尊心 」がある。
いじめられて喜ぶ“変態マゾヒスト”になんて、絶対になりたくなかった。
♫ ♫ ♫
だけど、僕の反抗的な態度を見ても、浅井先生は余裕綽々だった。
二人の先輩も、楽しそうに笑った。
「あーあ……伊織、“変態マゾヒスト”にされちゃうんだな……?」
「でも、悪いのは“告げ口”したお前なんだからな……?」
悠馬先輩と怜央先輩が、口々にそう言った。
悔しいけど、その通りだと思った。
こんなことになるんなら、浅井先生に“告げ口”なんかするんじゃなかった。
だけど「後悔先に立たず」というやつだった。
いよいよ、浅井先生の「指導」が始まった。
ともだちにシェアしよう!

