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ついに始まった「いじめ指導」

「そ、そんなの、絶対にイヤですッ!?」  珍しく……というよりも、初めてかもしれない。  僕は浅井先生に刃向かった。 「“変態マゾヒスト”になんか、なりたくないッ!」          ♫ ♫ ♫  さっきの「自白の強要」には応じた僕だったけど、今回はさすがに頷くことは出来なかった。  もちろん、僕だって分かっている。  生徒指導の浅井先生が“いじめっ子”の味方についているということは、二人の僕に対するいじめは学校側の“公認”ということだ。  どんなにいじめても叱咤されないとなれば、二人はこれから先もいじめを続けるだろう。:  そのいじめに耐える覚悟は、いつかは出来そうな気がした。     だけど“いじめられっ子”にも、男子としての「自尊心(プライド)」がある。  いじめられて喜ぶ“変態マゾヒスト”になんて、絶対になりたくなかった。          ♫ ♫ ♫  だけど、僕の反抗的な態度を見ても、浅井先生は余裕綽々だった。  二人の先輩も、楽しそうに笑った。 「あーあ……伊織、“変態マゾヒスト”にされちゃうんだな……?」 「でも、悪いのは“告げ口”したお前なんだからな……?」  悠馬先輩と怜央先輩が、口々にそう言った。    悔しいけど、その通りだと思った。  こんなことになるんなら、浅井先生に“告げ口”なんかするんじゃなかった。  だけど「後悔先に立たず」というやつだった。  いよいよ、浅井先生の「指導」が始まった。

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