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恥辱の牛乳浣腸①
平行に並んだ二台のハードルに、左右の太股をそれぞれ縛り付けられ、両手も“後ろ手”で縛られている、全裸の僕。
直立するしか出来ないその体のあちらこちらを、四本の絵筆が撫で回す。
ついさっき、浅井先生が高跳び用マットの上に置かれていたブリキのバケツから取り出して、悠馬先輩と怜央先輩に手渡した絵筆だ。
白い毛先の絵筆で、きっと浅井先生が美術室から無断で拝借したものだろう。
♫ ♫ ♫
今は、四本のうちの二本は、僕の左右の乳首に留まって、春風に靡くタンポポのように細かく揺れている。
一本は、おへその周りを円を描くように撫でている。
残る一本は、右の耳たぶを撫でている。
左の乳首とおへその周りを愛撫する絵筆は、僕の左側に立っている悠馬先輩が持っているもの。
右の乳首と耳たぶを愛撫するのは、右側に立っている怜央先輩が持っているものだ。
悠馬先輩も怜央先輩も沈黙を保って、だけどニヤニヤ笑いながら愛撫に勤しんでいる。
浅井先生は、僕のお尻を前に腰を下ろして、その瞬間を待っている。
“その瞬間”とは、僕が快感に屈して恥ずかしい声を漏らす瞬間だ。
つまりは「僕が恥ずかしい声を漏らすと同時に、浅井先生が灯油ポンプを押して「牛乳浣腸」を開始する」という“お遊戯”の最中だった。
♫ ♫ ♫
「ンッ……ん、ん!」
僕は唇を“への字”に結んで、さらに歯を食いしばって、恥ずかしい声を体の中に押し留める。
でも、わざわざ言うまでもないことだけど、四本の絵筆で全身を愛撫される快感は、恨めしく思えるくらい魅力的だった。
「ん……ん、ン!」
今のところ、かろうじて鼻から鋭い鼻息を漏らすだけで済んでいるけど、快感が僕の気概を確実に挫いていくのも感じていた。
「ンッ!……ン、んッ!」
☆☆☆☆☆
もちろん、三人の見ている前で“お漏らし”するなんて、ひとりの男子として耐えられない屈辱だ。
でも、三人が今さら「牛乳浣腸」を取りやめるはずもない。
僕が恥ずかしい声を出すまで、悠馬先輩と怜央先輩は、僕の全身を愛撫し続けるだろう。
だとすれば、渾身の力を込めて恥ずかしい声を押し留める、今の僕の努力も、結局は無駄に終わるだろう。
そんなことを考えて、今また気概を挫かれた、その時だった。
まるで蜜蜂が花から花へ飛び移るように、右の乳首を愛撫していた怜央先輩の絵筆が、僕のペニスに飛び移った。
勃起して下腹に張り付き、先端が真上を向いているせいで、ペニスの中でも最も敏感ないわゆる“ウラスジ”が、露わになっている。
怜央先輩の絵筆は、その“ウラスジ”の下の端に留まった。
一拍の間を置いて、その絵筆の毛先は、“ウラスジ”の上をゆっくりと這い上がり始めた。
「ン――ッ!?」
僕は今まで以上に強く唇を結んで、目をギュッと瞑った。
代わりに、今まででいちばん甲高くて鋭い鼻息を、体育倉庫に漏らした。
これを認めるのは悔しいけれど、絵筆で“ウラスジ”を撫でられる快感は、極上の快感だった。
「ン! ンンンッ! ン――ッ!?」
甲高い声鼻息を幾度か漏らしに十分な、たっぷりの時間をかけて“亀頭”に辿り着くと、怜央先輩は絵筆の先を、僕の右の脇腹に移した。
だけど、“ウラスジ”の愛撫から解放されて安堵する時間は、僕にはなかった。
怜央先輩の絵筆が離れた次の瞬間には、おへその周りを撫でていた悠馬先輩の絵筆が、“ウラスジ”の下の端に飛び乗ったからだ。
さらには、右の耳たぶを撫でていた怜央先輩の絵筆が、右の乳首に移った。
今、絵筆が留まっているのは、双方の乳首と右の脇腹、そして“ウラスジ”の下の端だ。
まず最初に動いたのは、“ウラスジ”に載っている絵筆だった。
窓ガラスを垂れる雨粒のように、ジリジリと“ウラスジ”を這い上がる。
「ン、ン!」
その絵筆が“ウラスジ”の真ん中に差し掛かったところで、右の乳首に添えられた絵筆が、微弱な振動を始めた。
「ンン! ン、ンッ!」
予想外の出来事が起きたのは、その直後のことだった。
てっきり脇腹を愛撫するものと思っていた怜央先輩の絵筆が、“亀頭”に飛び移ったのだ。
今まさに“ウラスジ”を這い上がっている絵筆が
向かう先で、さらに別の絵筆が“亀頭”を撫で回す。
「ムフ――ッ!?」
二本の絵筆でペニスを責められると、もう鋭い鼻息を漏らすだけでは治まらなかった。
「ムフッ、ムフムフッ、ムフッフッ!?」
とうとう鼻息にも“音”がのった。
「ムフフッ、ムフ、フッ!」
「やっぱり、チ×ポがいちばん感じるんだな……?」
怜央先輩が独り言のように呟いて、それから束の間の後だった。
右の乳首を撫でていた絵筆も、怜央先輩はペニスに移動させた。
それを見倣ってのことか、悠馬先輩も左の乳首をくすぐっていた絵筆をペニスに赴かせた。
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