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恥辱の牛乳浣腸④

 まるで、お尻の穴を通って、一匹の蛇が体の中に忍び込んできたみたいだった。 「やだやだやだやだ――ッ!?」  そのおぞましい感覚に、僕は否応なしに「やだ」の連呼を止めて、全裸の全身を強張らせた。             ♫ ♫ ♫  実のところ、浅井先生が「少しずつ」と言った通り、注入量は大したものではなかった。    でも、肉体を苦しめる苦悶がないからこそ、冷たい「浣腸液」のもたらす屈辱感は、僕の自尊心を蝕んでいく。  そんな悲哀に暮れる僕の前で、悠馬先輩と怜央先輩が向き合った。           ♫ ♫ ♫ 「怜央っ、伊織が浣腸されたら、俺の乳首を可愛がってくれるんだろ!?」     悠馬先輩がはしゃぐと、怜央先輩はうっすらと微笑んで、両手に握っていた絵筆を床に落とした。  一歩前に出て、悠馬先輩の前で跪く。  怜央先輩が何をしようとしているかは明らかだったけど、悠馬先輩はちょっと驚いた顔をした。 「てっきり、絵筆でくすぐってくれるって思ってたんだけど……?」 「大好きな悠馬の乳首を可愛がるのに、絵筆なんて退屈な“道具”を使う訳ないだろ……?」  満更でもなさそうな顔をする悠馬先輩。  そんな悠馬先輩を愛おしそうにしばらく眺めた後、怜央先輩はその視線を悠馬先輩の乳首に向けた。 「悠馬の乳首、また小さくなってるな……?」 「うん……怜央は、どっちが好き?」 「どっちって……?」 「大きな乳首と小さい乳首、どっちが好き……?」 「フフッ……悠馬はどう答えてほしいの?」 「それは……もちろん『大きな乳首』だよ。怜央がそう答えてくれたら、遠慮なく“おねだり”出来るだろ……?」  傍らで聞いている僕には、気恥ずかしくなるような会話だけど、二人はやっぱり楽しそうだ。 「フフッ、だったら、そう答えるよ。俺……悠馬の大きな乳首が好きだよ……? 悠馬のビンビンに勃った乳首が大好きだよ……?」 「ありがとう、怜央。じゃあ……俺の乳首にキスして……?」 「うん……」 「俺の乳首を……怜央の大好きな、ビンビンの乳首にして……?」  その時、僕の後ろにいる浅井先生が、恋人同士の時間を楽しむ二人に茶々を入れた。 「お前らだけで楽しんでちゃダメだろ? 伊織のことも相手にしてやれよ……?」 「伊織の相手は、先生がしてやってください……?」  怜央先輩が言うと、先生は不敵な笑みを交えた声で、意味ありげに言った。 「じゃあ、悠馬の乳首がひとつ勃つ度に、伊織に一発浣腸してやろう……?」 「ハハハッ、それ、面白そうッ!?」  すぐさま悠馬先輩が賛同すると、怜央先輩も笑った。 「なあ、伊織……?」  ヘラヘラ笑いながら、悠馬先輩が言った。 「自分で言うのも何だけど、俺の乳首って“スケベ”だからさ……すぐに勃っちゃうかも知れないけど、悪く思わないでくれよな……?」  怜央先輩が、悠馬先輩の左の胸板に顔を赴けた。  悠馬先輩の乳首の前で、唇を大きく開いた。  舌を真っ直ぐ突き出して、舌先を乳首の天辺に添えた。  束の間の沈黙を挟んで、悠馬先輩が体をゆっくりと仰け反らせた。 「あはぁっ……あっ、あっ、あっはッ……」  甘ったるい声をいくつか、天井に向かって吐き出した。  よくよく見てみると、怜央先輩の舌先が乳首をチロチロとくすぐっている。  やがて、うっとりとした微笑を満面に湛える一方、意地悪な視線を僕に向けて、悠馬先輩は言った。 「伊織……俺の乳首、もう勃っちゃいそうだよ……? あっ、あはぁぁ……」 「やめてっ!?」  僕は思わず叫んだ。 「ち、乳首、勃てないでッ!?」  涙混じりの声で、悠馬先輩に懇願した。  だけど、悠馬先輩が頷いてくれるはずもない。  寧ろ、僕に当てつけたいのか、うっとりとした微笑をいっそう色濃くしながら、譫言(うわごと)のように繰り返す。 「ああっ、勃つうぅぅっ……」 「やめてっ!?」 「乳首、勃つッ!?」 「やめてやめてやめてッ!?」  その譫言のひとつひとつに、僕は向きになってしまうけど、悠馬先輩の耳には届いていないみたいだった。 「勃つッ! あぁ…勃つ勃つ勃つ勃つッ!?」 「ダメッ!? 乳首、勃てないでッ!?」 「あはぁぁっ、乳首、勃っちゃうぅっ!?」 「ダメ――ッ!!」 「ああっ、勃つぅぅぅっ!」 「ダメぇぇぇっ!?」  その時、怜央先輩が突き出していた舌を口の中に戻して、大きく開いていた唇をいったん閉じた。  次にはその唇が、ストローを咥えるみたいに尖って、乳首にそっと吸い付いた。 ――チュッ……―― 「あぁんっ……」  わずかに水分を含んだ軽やかな音と、悠馬先輩の歓びに溢れた声が重なった。  そこで「ハァァ……」と、やっぱり歓びに満ちた溜息をひとつ漏らした後だった。  僕をからかいたいのか、悪意に溢れた能天気な口調で、悠馬先輩が言った。 「伊織、ごめ〜ん! 俺の乳首、勃っちゃった〜っ!」  間髪入れず、二匹目の“蛇”が、僕のお尻の穴に潜り込んできた。      

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