25 / 25
恥辱の牛乳浣腸⑥
“火炙り”という言葉を聞いてから、背筋が凍るような恐怖を覚えるのに、しばらく時間がかかった。
その内容があまりにも過激すぎて、咄嗟には実感が沸かなかったのだ。
浣腸液の苦悶すら忘れたほどだったけど、実感が沸かないという点では、悠馬先輩と怜央先輩も同じだったかもしれない。
二人とも、しばらくは沈黙していた。
一方の浅井先生は、二本のロウソクを僕の足元に放り投げると、さらに二本のロウソクをバケツから取り出して、やっぱり僕の足元に向けて投げた。
こうして、僕の周りに四本のロウソクが散らばったところで、怜央先輩が小さく吹き出した。
「フフッ……“浣腸“の次は、”火炙り”ですか……?」
「面白そうだろう……?」
先生が聞くと、怜央先輩も笑いを噛み殺しながら頷いた。
「フフッ、はい……」
すぐに、悠馬先輩も言った。
「俺もやってみたいです!」
一様にニヤニヤ笑う三人が、一斉に僕のほうを振り向いた。
僕が「背筋が凍るような恐怖」を覚えたのは、この時になってからだった。
けれども、極限を超えた恐怖のせいか、悲鳴すら上げられない。
「い、いっ……いやあぁぁ……」
ガクガク震えながら必死で許しを乞うのが、精一杯だった。
「許し、てぇぇぇぇっ……“火炙り”は、許してぇぇぇぇっ……」
けれども、恐怖に怯える僕の姿も、やっぱり三人を喜ばせるだけみたいだった。
三人揃って意地悪な笑みを浮かべて、黙って僕を眺めるばかりだ。
やがて、怜央先輩が悠馬先輩の肩を抱いて――紳士が淑女をパーティーにエスコートするように――悠馬先輩をリードして、僕の正面に立たせた。
怜央先輩自身は、悠馬先輩の背中に寄り添った。
右の肩越しに僕に眺めながら、怜央先輩が悠馬先輩の耳元で囁いた。
「悠馬……お前のチ×ポ、伊織に見せてやりな……?」
「え……?」
怜央先輩が何をしようとしているのか、悠馬先輩もまだ分からないんだろう。
でも、ちょっと怪訝そうな顔をしたものの、悠馬先輩は“彼氏”の言うことには素直だった。
ワインレッドのビキニパンツをずらして、僕にペニスを見せつけた。
その時、悠馬先輩のペニスは小さく萎んでいた。
「悠馬……お前は幸せだよな……?」
怜央先輩が、悠馬先輩の耳元で語り始めた。
「だって、伊織は乳首をくすぐられてチ×ポを勃てたせいで、先生に浣腸されちゃったけど……悠馬はただ幸せを感じながら、チ×ポを勃てることが出来るんだ……?」
「フフッ、確かにそうだな……?」
悠馬先輩が楽しげに笑うと、怜央先輩は悠馬先輩の背中を抱くようにして、悠馬先輩の胸に手を伸ばした。
左右の乳首をそれぞれ、人差指と中指の先でそっと挟んだ。
「悠馬……これからお前のチ×ポを勃ててやるから、伊織に自慢してやりな……?」
悪戯っぽく言った怜央先輩の一言を聞いて、悠馬先輩も怜央先輩の意図を汲んだみたいだった。
ちょっと得意気な笑みを浮かべて僕を見ると、元気よく言った。
「伊織、俺のチ×ポ、見てろよ!」
この一言を合図に、恋人同士の甘い時間が、また始まった。
怜央先輩が、悠馬先輩の乳首を挟む二本の指先を小刻みに震わせる。
「あっ、あぁぁ……あん、あっ……」
ついさっき「俺のチ×ポ、見てろよ!」と言った時の男の子らしい声から一転、今度は女の子みたいな悠馬先輩の声が、半開きの唇から零れ落ちる。
「あぁん、あっあっ……」
程なくして、悠馬先輩の顔に――いつかの「絶景を眺めているかのような」――うっとりとした微笑が浮かんで、同時にペニスがムクムクと膨らみ始めた。
「フフッ、悠馬のチ×ポ、もう勃ち始めたぞ……?」
怜央先輩が耳元で囁くと、悠馬先輩はやっぱり女の子のような悲鳴を上げた。
「い、いやぁぁん……」
その悲鳴に気を取られて、僕はペニスから目を離して、束の間、悠馬先輩の顔を見た。
「恥ずかしい」と言った悠馬先輩だけど、僕が見ているうちに、微笑は満面に広がっていった。
「伊織、目を逸らすなよ……? ちゃんと悠馬のチ×ポ見てろ……?」
怜央先輩に唆されて、僕はまた悠馬先輩のペニスに目を遣った。
その時にはもう、悠馬先輩のペニスは、先端を真上に向けていた。
「ああっ、あっ……」
変な話だけれど、僕は悠馬先輩が羨ましかった。
愛しい“彼氏”に乳首を愛撫されて、その快感を気兼ねなく堪能した挙げ句、躊躇いくペニスを勃起させている悠馬先輩のことが羨ましかった。
一方の僕はといえば、ペニスを勃起させたという理由でお便所にも行かせてもらえず、浣腸液の苦悶にもがいている。
幸せそうな悠馬先輩が目の前にいるからこそ、自分がいっそう惨めだった。
ともだちにシェアしよう!

