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恥辱の牛乳浣腸⑥

 “火炙り”という言葉を聞いてから、背筋が凍るような恐怖を覚えるのに、しばらく時間がかかった。    その内容があまりにも過激すぎて、咄嗟には実感が沸かなかったのだ。  浣腸液の苦悶すら忘れたほどだったけど、実感が沸かないという点では、悠馬先輩と怜央先輩も同じだったかもしれない。  二人とも、しばらくは沈黙していた。  一方の浅井先生は、二本のロウソクを僕の足元に放り投げると、さらに二本のロウソクをバケツから取り出して、やっぱり僕の足元に向けて投げた。  こうして、僕の周りに四本のロウソクが散らばったところで、怜央先輩が小さく吹き出した。    「フフッ……“浣腸“の次は、”火炙り”ですか……?」 「面白そうだろう……?」  先生が聞くと、怜央先輩も笑いを噛み殺しながら頷いた。 「フフッ、はい……」  すぐに、悠馬先輩も言った。 「俺もやってみたいです!」  一様にニヤニヤ笑う三人が、一斉に僕のほうを振り向いた。  僕が「背筋が凍るような恐怖」を覚えたのは、この時になってからだった。  けれども、極限を超えた恐怖のせいか、悲鳴すら上げられない。 「い、いっ……いやあぁぁ……」  ガクガク震えながら必死で許しを乞うのが、精一杯だった。 「許し、てぇぇぇぇっ……“火炙り”は、許してぇぇぇぇっ……」  けれども、恐怖に怯える僕の姿も、やっぱり三人を喜ばせるだけみたいだった。  三人揃って意地悪な笑みを浮かべて、黙って僕を眺めるばかりだ。  やがて、怜央先輩が悠馬先輩の肩を抱いて――紳士が淑女をパーティーにエスコートするように――悠馬先輩をリードして、僕の正面に立たせた。  怜央先輩自身は、悠馬先輩の背中に寄り添った。  右の肩越しに僕に眺めながら、怜央先輩が悠馬先輩の耳元で囁いた。 「悠馬……お前のチ×ポ、伊織に見せてやりな……?」 「え……?」  怜央先輩が何をしようとしているのか、悠馬先輩もまだ分からないんだろう。  でも、ちょっと怪訝そうな顔をしたものの、悠馬先輩は“彼氏”の言うことには素直だった。  ワインレッドのビキニパンツをずらして、僕にペニスを見せつけた。  その時、悠馬先輩のペニスは小さく萎んでいた。 「悠馬……お前は幸せだよな……?」 怜央先輩が、悠馬先輩の耳元で語り始めた。 「だって、伊織は乳首をくすぐられてチ×ポを勃てたせいで、先生に浣腸されちゃったけど……悠馬はただ幸せを感じながら、チ×ポを勃てることが出来るんだ……?」 「フフッ、確かにそうだな……?」  悠馬先輩が楽しげに笑うと、怜央先輩は悠馬先輩の背中を抱くようにして、悠馬先輩の胸に手を伸ばした。  左右の乳首をそれぞれ、人差指と中指の先でそっと挟んだ。 「悠馬……これからお前のチ×ポを勃ててやるから、伊織に自慢してやりな……?」  悪戯っぽく言った怜央先輩の一言を聞いて、悠馬先輩も怜央先輩の意図を汲んだみたいだった。  ちょっと得意気な笑みを浮かべて僕を見ると、元気よく言った。 「伊織、俺のチ×ポ、見てろよ!」  この一言を合図に、恋人同士の甘い時間が、また始まった。  怜央先輩が、悠馬先輩の乳首を挟む二本の指先を小刻みに震わせる。 「あっ、あぁぁ……あん、あっ……」  ついさっき「俺のチ×ポ、見てろよ!」と言った時の男の子らしい声から一転、今度は女の子みたいな悠馬先輩の声が、半開きの唇から零れ落ちる。 「あぁん、あっあっ……」  程なくして、悠馬先輩の顔に――いつかの「絶景を眺めているかのような」――うっとりとした微笑が浮かんで、同時にペニスがムクムクと膨らみ始めた。 「フフッ、悠馬のチ×ポ、もう勃ち始めたぞ……?」  怜央先輩が耳元で囁くと、悠馬先輩はやっぱり女の子のような悲鳴を上げた。 「い、いやぁぁん……」  その悲鳴に気を取られて、僕はペニスから目を離して、束の間、悠馬先輩の顔を見た。 「恥ずかしい」と言った悠馬先輩だけど、僕が見ているうちに、微笑は満面に広がっていった。 「伊織、目を逸らすなよ……? ちゃんと悠馬のチ×ポ見てろ……?」  怜央先輩に唆されて、僕はまた悠馬先輩のペニスに目を遣った。  その時にはもう、悠馬先輩のペニスは、先端を真上に向けていた。 「ああっ、あっ……」  変な話だけれど、僕は悠馬先輩が羨ましかった。  愛しい“彼氏”に乳首を愛撫されて、その快感を気兼ねなく堪能した挙げ句、躊躇いくペニスを勃起させている悠馬先輩のことが羨ましかった。  一方の僕はといえば、ペニスを勃起させたという理由でお便所にも行かせてもらえず、浣腸液の苦悶にもがいている。  幸せそうな悠馬先輩が目の前にいるからこそ、自分がいっそう惨めだった。  

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