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「んぐっ、っぅ」
苦しくて涙が出てくる。マテウスは右手でユーリの喉元を掴んで身体を自分のほうへと引きずって、ベッドから頭が少し下りて顎が上がるような角度で固定した。そのままぐっと喉を押し開くようにされる。感触でユーリの喉を突いているのがわかっているはずなのに、更に奥を開くようにぐっと押し付けられる。
「このクソガキ、あの国医になにを言いふらしやがった?」
こんな状態で答えられるわけがないのに、「吐け」と言いながら更に強く押し込まれた。
物理的に吐きそうになるのを堪えられず、反射的にマテウスを押しのけようと手が出た。マテウスの制服を掴んだからか、後ろを乱暴にほぐすように動いていた指がぐっと奥に潜り込んできた。息苦しさを不快感しかない。ぐうっと喉が鳴るのを嘲笑うマテウスの不気味が声が上がる。
視界が明滅すると同時に、苦しさから逃れようと足が浮く。その状態で咳き込んだせいで更に奥を突かれそうになったが、マテウスのものがずるりと抜け出て行った。
咳き込みながらも、足りない酸素を吸いこもうとするユーリの耳に、マテウスの嫌味な声が届いた。
「てめえのせいで明後日あたりに緊急会議だ。人の予定を狂わすなんざ、利口な奴隷ならやらねえことだ」
短く、忙しない呼吸を繰り返すユーリをよそに、後ろに入れられた指が縦横無尽に這いまわる。気持ちが悪い。でも、ここで弱みを見せたら、きっとこの男はつけあがるし、今日はどう出てくるか判断がつかない。
血走った眼からは、明確な情欲とともに殺意に似た凶悪な感情も見え隠れしている。
マテウスは昔から、奴隷を手酷く扱うことをストレスのはけ口にしているような男だった。ユーリに対してはここに来た時から扱いがひどかったが、そのまえに目を付けていたイル・セーラは、おなじC区にいたジェオロジカ出身の青年だった。
スタンダードな風貌だということもあり、ジェオロジカ出身者は態度が悪いと嫌厭されがちだけれど、言語形態がまったく違うことから理解ができていないだけだ。マテウスはその青年を散々犯したあとで首を絞めて殺してしまった。言葉が通じなくて止められているのが分からなかったなんてふざけたことを言っていたから、最初から制止をしていたことを聴取でしゃべってやったら、その次の日から目を付けられた。ユーリの聴取を担当した看守は、その日を境に来ていない。
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