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 ほかの看守の話だと、そのときにユーリの聴取を担当した看守は、マテウスに殺されたのではないかと言っていた。ユーリはこの収容所から外に出たことがないが、脱走防止のためにかなり辺鄙な場所に建てられているらしい。あの日は雨が降っていて、悪路だった為か、首都に戻るときに馬車ごと崖下に転落しているのが見つかったそうだ。  だからマテウスには逆らうなと、いつものあの看守から言われている。  逆らってもいないのにこうしてはけ口にされるのはいつものことだけれど、さっき塗り込まれた薬物のせいか、身体が言うことを聞かない。喉が詰まったような感覚から逃れたくて咳き込んでいると、急に後ろの違和感が消えたと思ったら喉元を掴まれてそのまま床に叩きつけられた。  受け身も取れずに顔面から床にたたきつけられた。強かに胸を打ち付けたせいで息が詰まる。マテウスは呻くユーリを無視して、乱暴に髪を掴んで無理やり顔をあげさせた。 「新しい国医がやってきたのもタイミングが不自然すぎる。Sig.フィオーレにでも泣きついたか? ええっ?」  答えろとマテウスが吠える。答えたところで口答えしたと詰られるし、答えなくても詰られるのはわかっている。大人しくしておきたいけれど、どうせ同じ結果なら正当性を訴えるほうがマシだ。 「なんも言ってない」  そも、あの優男は最近来ていないと吐き捨てる。舌打ちが聞こえたかと思うと、身体が浮くほどの勢いで腹を蹴られた。痛みと苦しさで呻き声が上がる。腹を押さえて蹲ったユーリの髪をまた鷲掴みにして、マテウスが床に腰を下ろした。張り詰めたそれを片手で固定し、ユーリの口元に押し付ける。ぐんと喉の奥まで突かれて、目の前が明滅した。 「態度の悪いガキには仕置きが必要だな」

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