44 / 91

第44話

 泣き止んだノアリスと共に彼の部屋に戻ると、ロルフがノアリスに飛びついた。  彼は床にストンと座り、ロルフの顔に顔を近づける。 「ロルフ……明日は、一緒に、お散歩に行こうね」 「わふっ!」 「……ふふ、楽しみだね」  ああ、よかった。  少しずつではあるが、笑顔も、心も、戻ってきている。  カイゼルはそれに安心して、床に座るノアリスとロルフの頭を撫でた。 「さあ、明日の為に、今日は早く寝ないとな」 「はい。ロルフ、一緒にベッドに行こう……?」  ベッドに移動して、ロルフと共に寝転がるノアリス。  掛布を掛けてやれば、「ありがとうございます」と言って微笑んだ。 「ロルフと一緒なら、眠れそうか?」 「はい。この子は、とても、あたたかくて」 「よかった。ロルフ、ノアリスを守ってやるんだぞ」  ロルフは『わかってるよ』とでも言いたげに、尻尾をフリフリと振った。 「おやすみ」 「おやすみなさい」  そうして目を閉じたノアリスを見て安心したカイゼル。  しかし、翌日の散歩で事件が起こるとは、思ってもみなかった。

ともだちにシェアしよう!