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第109話
また少し深くなる口付け。
ノアリスは初めて味わう気持ちよさを戸惑いながらも受け入れていく。
キスをくれる相手が、誰よりも信頼できる人だから。
「ん……ふ……」
しかしやはり慣れていないもので、呼吸が乱れなかなか上手く息ができない。
思考がぼんやりと霞みがかっていき、体から余計な力が抜けていく。
「はぅ……ぁ……」
「っ!」
ノアリスの甘い吐息が鼓膜を揺らし、カイゼルは一瞬だけ目を伏せた。
このまま続けてしまえば、もっと触れたいと思ってしまうと、そう感じたから。
顔を離し、濡れた唇に触れるだけのキスをしたあと、ぼんやりとこちらを見上げるノアリスの口端に滲んだそれを、指でそっと拭い取る。
「カイゼル、さま……?」
「……これ以上はやめておこう。まだ、そなたには少し早い」
彼の言う言葉の意味がノアリスには分からず、しかしぼんやりしている間にそっと抱き寄せられる。
「……眠ろう」
低く、優しい声。
胸に顔を押し当てられたまま、規則正しい鼓動を聞いているうちに、その温もりに包まれるようにして、ノアリスの意識はゆっくりと沈んでいった。
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