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第123話 ※

「ノアリス、先に伝えておく」 「は、はい……」  キスの最中。唇が離れると彼は低い声でそう言った。 「卵ができるようなことはしない。繋がりたいが、中には出さない」 「っ、」 「だから、痛いことはない。安心してくれ」  繋がりたいと思っても、本当は不安だった。  その不安を優しく宥めるように撫でてくれた彼に、つい涙が零れる。 「……はい」  目を閉じると、再び唇が重なり、大きな手が胸を包むように触れる。  少し、くすぐったい。 「は……はぁ、カイゼルさま、あの……私、変じゃ、ない、ですか」 「何も変じゃない。それどころか、何より綺麗だ」 「っ! ぁ……ぅ、」  恥ずかしい。けれど、不思議と嫌じゃない。  唇が体に落ちていく。  ふと下腹部を撫でた手が、まだ何の反応も示さない性器に触れて、思わず腰を引いた。 「ぁ……」 「大丈夫。痛くないだろ」 「っ……ぁ、き、汚い、から」 「汚くない」  背中を屈めたカイゼルは、ノアリスのそこを優しく触れながら繋いでいた手を離すと、香油を手に取った。 「っあ、ぁ……ン、ぅ……」 「ノアリス、この香油を少し中に入れるよ」 「……そ、それは……」 「痛まないようにするものだ。少しだけ、違和感があるかもしれない。……だが、すぐに慣れる」  ノアリスは小さく頷き、与えられる快感に乱れそうになる呼吸を、必死に整えるように息を吐く。  香油に濡れた指が、後孔を撫でたその時、ふとそこを兄によって痛めつけられた記憶が蘇ってくる。 「ぁ、あ゛……ゃ、い、いや……っ」 「ノアリス!」  顔色が変わり、苦痛の色を滲ませた彼に、カイゼルは手を離すと優しく名前を呼ぶ。 「痛くない。大丈夫だ。もう触れてない」 「っふ、フーッ、ぁ、か、カイゼル、さま……っ」  誰かに押さえつけられてるかのように体を固めるノアリス。パニックを抑えるように何度も彼の頭を優しく撫でた。 「カイゼルさま……も、もう、大丈夫、です」 「そうか」 「ぁ、の……続きを……」 「いや、無理しなくていい」  ノアリスのことを考えてそう言ったカイゼルだったが、ノアリスはキュッと唇を噛むと、彼の手を取り柔く握った。 「ダメ、ですか……? 大丈夫ですから、どうか、一緒にならせては、くれませんか……っ?」 「っ……」  すぐには答えられなかった。  このまま、ノアリスの望むように進めていいのか。    ──それでも。  小さく震えながらも、固く繋がれたその手を、振り払うことはできなくて。 「──わかった」 「ぁ……で、では、あの……お、お願い、します……」  ノアリスは落ち着くように、カイゼルの手を握ったまま息を吐いた。

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