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第126話 ※

「ノアリス、ゆっくり動くぞ」 「ん、は、はい」 「背中、爪を立ててもいいから」 「ぁ、はい……ん……っん、ぁ……!」  広い背中に回した手。  ゆっくりと中から抜けていくそれが、再び戻ってくる。 「ぁ、あ……っぁ、う……っは、ぁ……ッ!」 「はぁ……痛くないか……?」 「な、い……いたく、ない、です……っ」  カイゼルはホッとして、少しだけ動きを速くする。  背中にピリッとした痛みが走る。それすらも愛おしく感じるのだから、カイゼルは完全にノアリスにベタ惚れだ。  さっき指で撫でたいい所を突き、撫でてやると、ノアリスはさらに甘い声を零した。 「あっ、ぁ、あー……ッ、カイゼルさまっ、ぁ、また、また変なの、っぁ、きちゃい、ます……」 「ああ、大丈夫、そのまま」  ノアリスは先程も感じた感覚が再び襲ってきて、ギュッとカイゼルにしがみついた。  気持ちのいいところを突かれる。  口付けを交わしながら、初めてこの行為に幸せを感じられている。  身体に走る快感に、ノアリスは背中を反らした。   「──ッッ!」  声も出せずに絶頂したノアリスを、カイゼルは優しく見つめる。  額に浮かぶ汗は、彼を傷付けまいと堪えているそれだ。  一度律動を止めたカイゼルは、ノアリスの額にかかった髪を退けてやった。 「あぅ、ぁ……」 「ノアリス、大丈夫か」 「んっ……は、い……だい、じょうぶ……んっ、ぁ、あ……きも、ちい……っ」  ゆっくりと、まだ話せるくらいのそれは、まるでぬるま湯に浸かっているようで心地が良い。  体も、心も、満たされている。  この行為で、こんな気持ちになるだなんて。 「動くぞ」 「っ、はい……っ」  再びカイゼルが動き出す。  ノアリスは彼の体温を感じ、静かに目を閉じた。

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