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第131話
戦場から離れたルイゼンから伝令を飛ばし続け、ルイゼンの兵士が最前線に立つ。
『我らはルイゼン国の兵。戦場の経験においては幾度も死地を越えてきた。生き延びたい者、この戦に勝ちたい者は我らの声を聞け!』
そう叫んだルイゼンの将に耳を傾けたフェルカリアの兵は、戸惑う皇太子など横目に、ルイゼンに指示されるがまま戦った。
「総大将は私だ! 勝手な行動は許さん!」
しかし、誰一人として足を止めなかった。
先ほどまで押され、ただ傷つくだけだった戦場が、ルイゼンの指示ひとつで変わったのだ。
『盾を上げろ! 左へ回れ! 弓兵、今だ!』
その声に従うたび、味方は生き残り、敵だけが後退していく。
兵たちはもう理解していた。
──どちらの声に従えば、生きて帰れるのかを。
気づけば橋の中央まで押し返していた。敵の陣形が崩れ、歓声が上がる。
『押せ! 今だ、押し切れ!』
ルイゼンの兵の号令に、フェルカリアの兵たちも声を上げる。
その指示は無駄がなく、誰もが自然と従っていた。もはや戦場で、皇太子の声を探す者はいない。
形だけの総大将は顔を真っ赤に染め、歓声の上がる味方の陣の奥深くに入っていく。
こんな辱めを受けるなど、受け入れられない。
いつの間にか泥と血で、自分の輪郭すら曖昧になっていた。誰の血かもわからないものを纏ったまま、ただ立っている。
「くそ……っ!」
被っていた兜を地面に叩きつける。
自分がどこで間違えたのかすら、もうわからない。声を張り上げても、戦場には届かないのだ。
そうして彼は『形だけの皇太子』と、国中で笑われることになった。
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