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第135話
その夜は珍しく豪華だった。
料理長が豪勢な料理を振る舞い、テーブルはいつもよりずっと賑やかだ。
それに機嫌を良くしたのか、普段の酒をいつもよりも飲み、酔いが回った王はルーヴェンに「きつく言ってすまなんだな」と一言謝り、言われた本人は「いえ、私の失態です」と柔らかく言う。
すべて、早いところ、この王を消しておかなかったのがいけなかった。
そんな心の内を誰一人として気づかない。
「陛下、今日は葡萄酒を用意させたのです。肉によく合うかと思いまして」
「ほぉ!」
持ってこさせた葡萄酒のコルクを抜くのと同時にそっと薬を入れる。
それを傾け、二つのグラスに注ぎ、王に差し出したルーヴェンは、自らもそれを手に取り、チンと乾杯して、王が先に飲むのを待った。
ひとくち飲み込んだのを確認してから、自らも口をつける──フリをする。
ガタン、と騒がしい音がした。
焦った様子で父を見れば、テーブルに突っ伏している。
「へい、か……? 陛下、陛下! いかがなさったのです! 医者を呼べ! 早く!」
駆け寄ったルーヴェンは、王の肩に触れ激しく揺らす。
こんなことをしても、医者を呼んでも、助かりやしないのは分かりきっている。
さて、誰かを犠牲に、自分は王にならなければ。
ルーヴェンは冷徹な目を周りに向けた。
「この葡萄酒を飲んでからだ。飲んでから、お倒れになられた。これを準備したとは誰か──ッ!」
空間を割くような声が響く。
一人の侍女に集まる視線。
到着した医者に王を任せ、ルーヴェンは次女に近づいていく。
「貴様が?」
「っ、た、確かに、私がご用意いたしました……! しかし、こんなことになるなんて、そのような……!」
「言い訳は聞かん。こやつを牢に閉じ込めろ。仮に陛下のお命に終わりが来た時、そなたも道連れだ」
「っ! お助け下さい!! 皇太子殿下……っ!!」
兵士に捕らえられる侍女。
急ぎ処置を受ける王。
全てがルーヴェンの計画通りである。
そしてその三日後。
フェルカリア国王が逝去した。
そしてその日、新たな王が誕生し、捕らえられていた侍女もまた、無実の罪で命を落としたのだった。
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